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「公共空間 逆プロポ」ができるまで / できてから
  「公共空間 逆プロポ」ができるまで / できてから

2020年の鍵は“移動”と“ネットワーク”。
第3回「公共空間 逆プロポーザル」開催レポート

2020年9月25日、公共R不動産が企画する『公共空間 逆プロポーザル』の第3回を開催しました。第一線で活躍する民間プレイヤー5名による利活用アイデアのプレゼンテーションに対し、8自治体・1企業が38物件の遊休不動産を提示しました。初のオンラインで実施したイベントとアフタートークの様子をレポートします。

柔軟な発想を持つ民間プレイヤーから自治体へ「こんなことがしたい!」というアイデアをぶつけ、自治体が手を上げてマッチングを図る、通常の公共空間活用のプロセスを逆転させたイベント『公共空間 逆プロポーザル』(以下、逆プロポ)。

公共R不動産メンバーの妄想からはじまり、2018年に東京で第1回、2019年に第2回、2020年2月に地方版としてin福岡を開催してきましたが、第3回となる今回は初のオンラインで決行しました。

Zoom越しでも往年の人気テレビ番組「スター誕生!」のように心躍る瞬間が生まれるのだろうか…とドキドキを抱えながらの幕開けでしたが、イベントが進むにつれて参加者のボルテージはぐんぐん上昇し、夕方に開催したYouTube配信のアフタートークまで盛り上がる濃密な1日となりました。

日本各地100名以上の方々が視聴するなか、チャットや投票機能も活用しながら全員参加型で実施。オンラインならではのメリットと2020年の時流を感じた、今回の逆プロポを振り返ります。

公共R不動産の菊地 マリエ(左)馬場 正尊(中央)飯石 藍(右)が、お揃いのTシャツ姿で司会・進行を務めました。

逆プロポをきっかけに、公民連携のパートナー探し

オンラインの配信は、東京の目白にあるスタジオから。公共R不動産の飯石 藍によるイントロダクションと公共空間活用レクチャーののち、馬場 正尊による挨拶で逆プロポがはじまりました。

「コロナ禍で大規模なイベント開催が難しいなかですが、こうしてオンラインで日本中の方々にご視聴いただけ嬉しく思っています。今日も選りすぐりのプレイヤー5名がリアルとオンラインで集まっているので、彼らのプレゼンを楽しみにしていてください。ここでの繋がりをきっかけに、のちに意外な形でコラボが生まれることもあります。なので、この企業・この人と組んで一緒に何か仕掛けてみたい!とパートナーを探す気持ちで、ぜひイメージを膨らませながら臨んでください」

「オンラインならではのいろんな実験をしていきましょう」と話す馬場。

溢れる地元愛。8自治体と1社による30秒のPRタイム

未来のパートナーを求めて今回エントリーしてくださったのは、下記の8自治体と1社。廃校となった小学校や公園、無人島など、活用を待ち望む38物件の公共空間が対象となりました。

・茨城県 常総市
・群馬県 沼田市
・千葉県 (いすみ市、香取市、南房総市、長南町)
・鳥取県 智頭町
・島根県 浜田市
・岡山県 津山市
・大分県 竹田市
・沖縄県 南城市
・西日本高速道路株式会社(NEXCO西日本)九州支社

オンライン開催で、会場の熱気や雰囲気が伝わりにくいのではと、今回は、冒頭にエントリー団体毎30秒のPRタイムを導入。伝えたい魅力があり過ぎてタイムオーバーで打ち切られる自治体が続出するという事態に…! 地域の特色の紹介やイベントに対する意気込みなど、逆プロポかつ初のオンラインという新しい動きに興味を持ってエントリーしてくださった方々の意欲の高さを痛感しました。

津山市のPRタイムの様子。この日のために、各自治体がプラカードを手作りしてくださいました。
離島物件を提示してくださった南城市は、ご当地のゆるキャラと一緒に登場。オンラインならではですね。

斬新なアイデアが繰り出された、民間プレイヤー5名のプレゼン

ここから、逆プロポのメインコンテンツである民間プレイヤーのプレゼン&ディスカッションです。ご登壇くださったのは、下記の5名。各事業の仕組みや官民連携の実績、今後どういった自治体や企業とコラボしていきたいかなどの思いを、7分間に凝縮して懇々と語ってくださいました。

最初のプレゼンターは、国立公園などを巡業するアウトドアホテル「The Caravan」を手掛ける株式会社 Wonder Wanderers 代表取締役の須藤 玲央奈さんです。「地元の人々のプライドが込められた広大な自然のある場所に巡り会いたいです。うちの強みはインフラがなくても実施できること」との発言を受け、馬場が「取り合いになりそうな明快さですね。これはズルイ!」と感嘆の一言。

続いて、“不動産から可動産へ”とのアイデアのもと移動型滞在施設「BUS HOUSE」を運営する株式会社EXx 代表取締役の青木 大和さんは「最初から物件を建てると初期費用がかかりますが、モバイルハウスならその土地の需要を知るために試験的に設置したり、オンシーズンだけ稼働させて観光客の受け入れを期間的に増やすこともできます」と説明。これに対して馬場は「行政用語に置き換えると“社会実験”にあたりますね。モビリティを使った日本初のチャレンジ」と讃えました。

“Mobility for Possibility”を掲げ「新しい未来のまちづくりを一緒に行っていきましょう」と参加者に語りかける青木さん。

次に、独自の視点で地域のストーリーを発信する株式会社BEAMSのプロジェクト「BEAMS JAPAN」のプロジェクトリーダー佐野 明政さんが「公共空間を活用して新しいタイプのアンテナショップを運営、もしくはプロデュースしたいです。服に限らず民芸や食文化などでも」と話すと、馬場が「眠っている価値を発掘しリブランディングするとはBEAMSらしいですね」と深く相槌を打ちました。

そして、音楽でまちの個性を可視化する地図アプリ「Placy」を開発する株式会社Placy 代表取締役の鈴木 綜真さんは「その空間を使わせてくださいというより、その空間に人を連れていきますというのが僕らの提案です。例えば映画の舞台や作家が影響を受けた場所、アーティストの出身地など、隠れた地域の魅力にピンを立て、人を誘導することができます」。このプレゼンを聞いた馬場は「新しい世代のまちへのアプローチだなぁ。自治体がほしい数値を測定できるのも魅力」と太鼓判!

「ジャケ買いするような感覚でまちに出会う、そんな提案をしませんか」と前衛的な発想で会場を惹きつける鈴木さん。

最後は、アプリを活用した分散型ワークプレイスのシェアリングを提唱する九州アイランドワーク株式会社 代表取締役社長の馬渡 侑佑さんです。「遊休資産を活用したワーケーションのビジターセンターをつくりたいと考えています」との主張に対し、馬場は「今後間違いなく伸びる領域。無目的化している全国の公共施設を全部これに変えちゃえって思いましたね」と強く賛同していました。

各プレゼン後に行った視聴者投票では「超いいね!」や「コラボしたい!」の票が多数。自治体・企業によるアプローチタイムでは、プラカードが多数上がり「現場をご案内したいので、ぜひお越しください!」や「お知恵を貸していただきたい!」といったラブコールの嵐が巻き起こりました。

プレゼンに対してプラカードが続々と上がりました!

分散・流動のパラダイムを実感した2時間のイベント

こうして、あっという間に2時間が経過。締めくくりとして馬場がこう総評を述べました。

「今年のキーワードは、“移動”と“ネットワーク”だったという気がしましたね。スポットで終わらず、面的な広がりを持つコンテンツばかり。コロナ禍を受けてリモートワークやワーケーションが重要視され、民間プレイヤーが以前から行ってきた活動の魅力が再認識されながら、日本各地に人が分散・流動して暮らすようなパラダイムが今まさに起きようとしているように感じました。

視聴者の方々もきっとたくさんのヒントを受け取ったかと思います。公共R不動産としても、土地ありきの不動産という概念に縛られることなく、今後柔軟に考え方を広げていかなければと考えさせられました。プレゼンターのみなさんのことをもっと知りたい方は、ぜひ公共R不動産にお気軽にご連絡ください」

オンライン参加者と会場にお越しくださった佐野さん・鈴木さんと記念撮影をして、イベントは閉幕を迎えました。

公民連携の実績ある事業者3名が本音で話す、アフタートーク!

イベントの本編は終了しましたが、ここで終わらないのがオンラインのいいところ。気軽にアクセスし合えることをいいことに(!)多忙な民間プレイヤーに無理を申して、なんとかスケジュールをご調整いただけた3名と共に、1時間のアフタートークをYouTube配信にて行いました。

お付き合いくださったのは、九州アイランドワーク株式会社の馬渡さんと、BEAMS JAPANの佐野さん、株式会社 Wonder Wanderersの須藤さんです。

オンラインの配信は、本編に引き続き目白のスタジオより、公共R不動産の馬場・飯石・菊地にて。

逆プロポの登壇を振り返って、馬渡さんからはこんなコメントがありました。

「逆プロポが登場したときから面白い!と思っていました。通常の公募型プロポーザルでは、製作費や交通費などプロポーザルに出るための準備コストが数百万円近くかかることがあるのですが、あまり公平に審査されていないんじゃないかと感じることも多く、通常の仕組みに不満を持っていました。だから、今後この逆プロポの仕組みが加速して、準備コストの調達方法も皆で学びながら、ここから良いものがまた生まれていったらいいなと思っています」

このコメントに全員共感。馬場も「熱い事業主と熱い自治体を健全にマッチングする公式の場が今のところなく、それによって膨大な作業とコストのロスが発生しているんですよね。その現状を逆プロポを皮切りに健全化させたいと心から願っています」と企画に込めた思いを明かしました。

「逆プロポのを通じて、地元以外の自治体の方々とも話ができてよかったです」と感想を述べる馬渡さん。

続いて、飯石が佐野さんへ「BEAMS JAPANさんは独自の視点でローカルを編集されていますが、地域の人たちと足並みを揃えるなかで難しさを感じることはありますか?」と質問を投げかけました。

佐野さんの回答は意外にもNO。その理由は「日本で行ったことのない場所がないくらい弊社スタッフ全員で各地の現場を走り回って知見を蓄えており、BEAMSの選択眼に一任してくださる自治体さんが多いので」。それを聞いて一同は、組織全体で実績を積み重ねて説得力を高めながら、組織の一人ひとりが自らの足でリアルなローカル情報を収集する、その両輪の大切さを痛感しました。

逆プロポに関して、佐野さんは「こういう機会は今まであまりなかったので新鮮でした。今後の展開も楽しみです」。

続いて話題は「これまでどうやって公共物件を探していましたか?」という菊地の質問へ。公共R不動産では、日本各地の遊休公共不動産の情報を一元化しようと2020年9月に「公共不動産データベース」を正式リリース。実際の利用者層となる民間プレイヤーの活用物件探しの実情について尋ねました。

公共空間活用の実績を多数持つ須藤さんですが「『公共不動産データベース』を見ていると、これまでの自分は井の中の蛙で、物件情報に全然辿り着けていなかったんだなと思い知りました。これまでは現場に何度も足を運ぶしかなく、民間と行政の言語に違いがあり、お金に対する考え方や目的も異なるので、スタートラインに立つまでかなりの時間がかかりました。このデータベースがあれば、そういったコストも労力も省くことができる、宝物のようなサービスです」と、なんとも嬉しい返答…!

須藤さんは「逆プロポーザルに参加する自治体はモチベーションが高い自治体。公民連携事業では、行政と民間の熱量のバランスが合うことが重要になるので、逆プロポという場所で熱量の高い自治体さんと出会えたことがよかったです」と、企画冥利に尽きるコメントをくださいました。

今回のアフタートークのなかで馬場が「地域に秘められたドラマティックさは、その地域に暮らす人々にとっては日常化していて気付きにくい。だけど第三者が違った角度から捉え、デザインなどのアレンジを加えることでパッと価値が高まるものです」と話したように、今後も熱い事業主と熱い自治体のマッチングによって、隠れた地域の魅力が新たな形で発掘されていくことでしょう。

アフタートークの様子はYouTubeにもアップしているので、当日の詳しい会話をもっと知りたい方はぜひご視聴ください。今後さらに情報が増え、もっと使いやすくなる「公共不動産データベース」にも乞うご期待! それでは、また来年の『公共空間逆プロポーザル』でお会いしましょう。

公民連携を加速させていく「公共不動産データベース」

公共不動産データベースは、これまでの公共R不動産のサイトから、物件に特化して、検索性と網羅性を飛躍的に高めた新サービス。一般会員(無料)と特別会員(有料)のメニューがありますが、2021年3月までは特別会員メニューも無料で使っていただくキャンペーンを実施しています。

アフタトーク内で、須藤さんが「自治体の方がおすすめしてくださる物件と、自分たちが良いと思う物件にはかなり差があります。自治体の方はあまり魅力的だと思っていない、少し古くて中心部から離れたような物件も、磨き方によっては光る場所に変わることもたくさんあります」とコメントされていました。

どんな物件が民間企業の目に止まるかは、出してみないことにはわかりません。まずは自治体が保有している遊休化した公共不動産情報はもれなく登録してみましょう!思いがけない物件に対して反応があるかもしれません。

今後、皆さんのニーズに合わせて機能のアップデートを行っていくので、公共空間の活用にご関心がある方は、まずアカウントをご登録いただき使ってみてください。

公共不動産データーベース
https://db.realpublicestate.jp/

PROFILE

前田 有佳利

前田 有佳利

全国200軒以上のゲストハウスをめぐる編集者。1986年生まれ。2011年よりゲストハウス情報マガジン「FootPrints」を運営。2016年に書籍『ゲストハウスガイド100 -Japan Hostel & Guesthouse Guide-』(ワニブックス)を出版。2017年より大正大学の月刊誌『地域人』でコラム連載。2018年より毎月各地で「ローカルクリエイター交流会 -Guesthouse Caravan-」を開催。旅先で得た知見を活用し、和歌山県の移住PR事業にも携わる。