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「公共空間 逆プロポ」ができるまで / できてから
  「公共空間 逆プロポ」ができるまで / できてから

物件探しから、パートナー探しへ。第2回「公共空間 逆プロポーザル」開催レポート

公共R不動産では、2019年9月27日に第2回『公共空間 逆プロポーザル』を開催しました。昨年より、規模も内容もパワーアップしたイベントの様子をお届けします!

photo: ©MADOKA AKIYAMA
photo: ©MADOKA AKIYAMA

お荷物施設と言われる公共施設を「お宝」物件に変えよう。そのために柔軟な発想を持つ民間プレイヤーと自治体とのマッチングの場を提供してみよう!そんな妄想から始まった企画『公共空間 逆プロポーザル』。民間から自治体に向けて「公共空間でこんなことしたい」というプレゼンを行い、このアイデアを我が街で実現したい!と思った自治体が手を上げる、という逆転の発想のプロポーザルです。

昨年の盛り上がりを受け、2回目となる今回は参加自治体数51、参加者約200名のイベントにパワーアップしました!昨年の開催レポートはこちらからどうぞ。

アートスペース「BUoY(ブイ)」の地下が会場に。このようなラフさを残したリノベーションも魅力的。そんなメッセージを込めてセレクトされた場所。 photo: ©MIKI CHISHAKI

今回の会場は東京・北千住にあるアートスペース「BUoY(ブイ)」。もともと銭湯・ボーリング場として使用されていた築50年超えの古ビルをクラウドファンディングで資金調達してリノベーションしています。空間のリノベーションにも色々ありますが、昨年の会場である「Nagatacho GRID」(東京・永田町)と比べるとコンクリートの躯体むき出しのラフな空間。それもまた退廃的なカッコよさを醸し出しています。

さて、この空間でどんなプレゼンテーションが行われたのか……!? 新しい時代を彩る5組のプレゼンテーターと、51の自治体とで始まったイベントの全容をご紹介します。

まずはオープニングムービーと今回のイベント要旨について公共R不動産の飯石藍が説明。photo: ©MIKI CHISHAKI

「既成概念をぶっ飛ばそう!」馬場正尊の講演からスタート!

イベントは公共R不動産の馬場正尊が、今回の企画が生まれた経緯と先進事例を紹介するところからスタート。

逆プロポーザルはもともと、昨年の6月に発刊した書籍『公共R不動産のプロジェクトスタディ』に「妄想企画」として掲載したところから始まったものです。一世を風靡(ふうび)した人気番組「スター誕生!」のように、公共空間を活用したい民間プレーヤーと、そのアイデアを実現したい自治体とをマッチングすることを目的としています。

公共R不動産の著書『公共R不動産のプロジェクトスタディ』で書いた「逆提案プレゼンFES」
公共R不動産ディレクター馬場正尊にとっても「1年で一番楽しみであり、一番緊張するイベント」だと言う。photo: ©MIKI CHISHAKI

公民連携による公共空間の活用事例として、沼津市の少年自然の家と隣接する公園を「INN THE PARK(イン ザ パーク)」という宿泊型体験施設として自社運営してきたことを紹介。「公共空間を民間に託すだけ、貸すだけではなく、市民のことを考えて公民連携して、一緒に考えながら構築することでできた」と振り返ります。

そのうえで「選りすぐりの民間プレーヤーの方々に来ていただきました。民間のアイデアをフル活用するためにも自治体の皆さんは頭を柔らかく、既成概念をぶっ飛ばしてください!」と檄(げき)を飛ばしました!

馬場は公共不動産の活用に必要な「空間」「制度」「組織」という3つの変革を掲げました。photo: ©MIKI CHISHAKI

昨年のプレゼンから1年。実行されたプロジェクトはどうなった!?

続いては昨年のプレゼンテーター、株式会社アドレス 代表取締役 佐別当隆志さんが、昨年の逆プロポからの1年間を振り返ります。佐別当さんの企画は、定額制で住み放題サービスを作りたい、というもの。具体的には、定額で登録した会員が、全国の登録された家を「第二・第三の住まい」として利用できるサービスです。全国の空き家問題解決にもつながるアイデア。

1年前に事業構想をプレゼンし、11月末に会社設立、12月にサービスを発表。4月から30名限定で会員を募集したところ、1週間で700人の応募があり、11拠点で試行運用しているという展開スピード。多くのメディアに取り上げられ、9月現在では全国25箇所に物件がありますが、さらに月5~6件ずつのペースで増えており、年末には50件になる予定。10月末からは、正式会員募集を開始予定だと言います。ここまでスピード感を持って事業を進めることができたのも、逆プロポで自治体のリアルな反応が得られたから。実際、このイベントを通じて一宮市では拠点が誕生しています。

昨年からの1年間を振り返って語る、株式会社アドレス 代表取締役佐別当隆志さん。photo: ©MIKI CHISHAKI

このスピード感を前にして、公共Rの飯石からは「自治体の方は民間のこのスピードで今日の事業を見ていただければ」「今日のプレゼンもすぐ動くものがあると思うので前のめりに考えてください!」と会場の参加者を鼓舞しました。

公共R不動産、選りすぐりの民間プレーヤーがプレゼン!

民間プレーヤーとして公共空間活用のアイデアを提案してくれたのは次の5名。

・伊藤 大地さん(Do it Theater 代表)
・秋吉 浩気さん(VUILD株式会社 代表取締役CEO)
・小谷 翔一さん(株式会社アカツキライブエンターテインメント 執行役員)
・園 利一郎さん(角川ドワンゴ学園 N高等学校 キャリア開発部 副部長)
・橋本 康治さん(ヤンマー株式会社 食事推進室 市場開発グループ/ヤンマーアグリイノベーション株式会社

Do it Theater伊藤さんの提案は、公共空間を「完全予約貸切・プライベートドライブインシアター」にする、というもの。「世の中のムードを上げる、ロマンチックな空間を作って行くのが夢」という伊藤さんのフォトジェニックな映像の数々に会場の参加者もうっとり。「人が少なくてプライベート感満載の公共空間あります!」という自治体のアピールに、司会の飯石がすかさず「パブリックな場所のはずなのに、プライベートになっちゃってるのが面白い!」とコメントして会場に爆笑の渦が起こります。

Do it Theater 代表の伊藤 大地さん。photo: ©MIKI CHISHAKI

つづくVUILDの秋吉さんのテーマは「山」。中山間地、林業に関わる人やスタートアップの民間プレーヤー、建築家、作家の活動を「デジタルファブリケーション」という最新技術を使って応援しようというものです。地域の木材を使って、地域の人たちが主体的にプロダクトを作れる仕組みに、馬場は「地産地消にして、地域の雇用を新しく作るという想像力がすごい!」と興奮気味。多くの自治体からプラカードが上がり、「12月にイベントやるので来てください!」とその場で秋吉さんにイベント登壇のオファーも出るほどでした。

VUILD株式会社 代表取締役CEOの秋吉 浩気さん。photo: ©MIKI CHISHAKI

3番目はアカツキライブエンターテインメントの小谷さん。横浜市の元郵便局をリノベしたエンターテイメント施設「アソビル」の実績を事例として、地域で頑張る個人事業主を応援する商業施設のアイデアを提示します。さらに常総市市長・神達さんからのアピールには馬場が「とうとう行政のトップも来るイベントになっちゃったんですね!」と喜びの声を上げました。

株式会社アカツキライブエンターテインメント 執行役員の小谷 翔一さん。photo: ©MIKI CHISHAKI
茨城県常総市市長の神達たけしさん。自治体トップ自らの猛アピールに会場も大いに盛り上がる。photo: ©MIKI CHISHAKI

4番目は角川ドワンゴ学園 N高等学校の園さんが「リクナビに載っていない職業を作りたい」と廃校を活用した通信制の高校の展開について語ります。高卒資格だけではなく、いろいろな学びを提供できる通信制教育を目指し、地域との繋がりを生み出す体験型のプログラム展開などのアイデアです。最初は控えめかと思われた自治体のアピールは次第に熱気をおび、「何なら隣の○○市さんと連携してやります!」と横展開への意向も出てきました。

角川ドワンゴ学園 N高等学校 キャリア開発部 副部長の園 利一郎さん。photo: ©MIKI CHISHAKI

最後はご存じ、農耕機械のメーカー・ヤンマーの橋本さんのプレゼンです。「お米の用途を広げたまちのリブランディング」という、公共施設とは直接結びつかなそうな話に公共R側も「ちょっと難しいと思うんですが……」と弱腰な振り方。

……と思った次の瞬間、「これまでで一番アピールする自治体が多いじゃん!」と思わず馬場が声を上げるほど、多くの自治体からプラカードが上がり、「田んぼあります!」「このために参りました!」と猛アピールが繰り広げられました。施設ありきではなく、地域の産業作りに遊休化した田んぼや施設を活用していきたいという橋本さんのプレゼンテーションに対して、施設の提案だけでなく事業内容の相談までも飛び出していました。

ヤンマー株式会社 食事推進室 市場開発グループ/ヤンマーアグリイノベーション株式会社の橋本 康治さん。photo: ©MIKI CHISHAKI

「物件探し」から「パートナー探し」へと進化

第2回目となった今回の逆プロポーザル。プレゼンテーターからは、施設単体の活用アイデアよりも、自治体や地域のコミュニティと連動して地域全体を盛り上げる提案が多くみられました。物件探しではなく、パートナー探し。確実に昨年よりも進化したやりとりが生まれていました。

この進化の形に、コメンテーターとして参加したゲストからも驚きの声が。LIFULL HOME’S 総研所長の島原万丈さんは「この逆プロポーザルという仕組みがすごく面白い、セクシー」「この一年の間に、想像を絶する速度で進化している」とその感動を素敵な言葉で表現してくれました。

LIFULL HOME’S 総研所長の島原万丈さん。photo: ©MIKI CHISHAKI

PARK-PFIを作った元国土交通省公園課長の町田さんは「最近、公園が街にとって不良債権になっていないかと懸念していたけど、登壇者のクリエイティブなアイデアや自治体のみなさんの熱意に勇気をもらった。地方公共団体の方々の取り組みに期待しています」と激励。

元国土交通省 都市局 公園緑地・景観課長の町田誠さん。photo: ©MIKI CHISHAKI

特定非営利活動法人日本PFI・PPP協会 業務部長の寺沢弘樹さんは「大事なのはこれをしっかりビジネスにしていくこと」「随意契約を利用した民間提案制度を持っている自治体かどうかで、今後の事業実現にすごく差がついて来る」と制度の整備についても指摘します。

特定非営利法人PPP・PFI協会 業務部長の寺沢弘樹さん。photo: ©MIKI CHISHAKI

熱気冷めやらず、これからへの期待も高まる

今年もプレゼンのたびに多くのプラカードが上がり、自治体のアピールタイムが足りない場面が多々見られました。あまりに時間が足りないので、当イベントの名物、いいね!うちわを振る時間を省略してアピールタイムに充てるほどです。

次々とプラカードが上がり、自治体のアピールタイムが足りない状況。photo: ©MADOKA AKIYAMA
何度見ても、いいね!うちわがどっと上がって会場がオレンジに染まる瞬間は壮観。photo: ©MIKI CHISHAKI

イベント終了後の名刺交換タイムには、各プレゼンテーターの前に長蛇の列ができました。前回と比べ、会場全体に「一緒に作っていこうぜ」という空気が満ち、成熟した雰囲気を感じた2回目の逆プロポーザルでした!

会場を1つ上の階に移して、終了時間の間際まで名刺交換。photo: ©MIKI CHISHAKI

公共R不動産を始めて4年、高いポテンシャルを持った公共空間があるのに、⺠間企業に的確に届けられないジレンマがありました。活用するにもそのプロセスで空間、組織、制度、それぞれにハードルがあることを実感し、それを突き崩さなければ抜本的な公共空間の改⾰は無い、と思ってきました。

既存のシステムや⼿続きを批判するのは簡単です。けれども、それよりもユーモアとポジティブな空気を作ってムーブメント化していこう!というのが公共R不動産らしいスタンスのはず。

寺沢さんのコメントにもあった通り「大事なのはここから、どのようにビジネスとして発展させて、継続していくか」です。

今回のイベントがきっかけとなり、1つでも多くの案件が具体的なプロジェクトとして進むよう、これからも公共不動産の活用が進むよう様々な企画を動かしていきます。民間プレーヤーも自体も同じ船に乗る気持ちで、既存の重たいシステムも突破し、⼀緒に楽しみながら⾛っていきましょう!

当日の熱気溢れる雰囲気を、動画でもご覧ください!

来年2月には、逆プロポ初の地方開催が決定!

福岡を舞台に、新しい公共不動産の活用を探っていきます。こちらのプロジェクトページで情報発信していくので、ぜひチェックください!
https://www.realpublicestate.jp/project/project-fukuoka

PROFILE

唐松奈津子

ライター
唐松奈津子

(株)リスパルタデザイン代表取締役。東洋大学PPP研究センターリサーチパートナー。2002年(株)リクルート住宅情報事業部(現SUUMO)入社以来、住宅・不動産メディアの立ち上げ、編集、ライティング等を行う。「SUUMOジャーナル」「ノムコム with Kids」等にて連載。2018年東洋大学大学院公民連携専攻入学。公共不動産、空き家・空き地、住宅セーフティネットに関する研究を行う。佐賀県出身。