公共R不動産のプロジェクトスタディ
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日本のパブリックアート空間もついに
YCC ヨコハマ創造都市センター

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三角形が特徴の建物全景。(写真提供:YCC ヨコハマ創造都市センター)

重厚なバルコニーが目印、旧第一銀行横浜支店

従来より横浜の創造都市拠点として使われてきたこの建物ですが、この度、運営者交代で、6月30日にリニューアルオープンを果たしました。

新たに運営に当たるNPO法人YCCは民間4社のコラボ法人で、なんとTone&Matterの広瀬さんが代表の一人。目黒の超お洒落ホテルCLASKAを手がけたあの方ですよ!

1Fがカフェ&ギャラリー、2Fがコワーキングスペース、3Fがファブラボ&レンタルスペース。市民と産業とクリエーターが混じり合う空間がコンセプトです。原状回復義務有り&歴史的建造物で床は石。景観条例上サインは出せない等の制約はありながらも、カフェをカートでマルシェ風にする、ダクトは既存の窓利用等の工夫で、軽やかにクリアされているご様子。

指定管理ではなく無償貸与型

指定管理料の代わりに、スペースからあがった収入の全てを事業者が得て、そこから初期投資と運営費が賄われるというスキーム。ただし、応募要綱には「利益をださないこと」と明記されており、運営主体も非営利法人に限定。株式会社が応募する場合はNPO法人を新たに立ち上げなければならない、とも。むむ、これは経営、なかなか大変そうだぞ…!?

なぜ、絶対儲からない「公共空間」に挑むのか?

代表の広瀬さんにお聞きしたところ「悔しかったから」と。ヨーロッパやアメリカでは公園や道路等、パブリック空間がすごくかっこよく使われている。日本でもできないはずはない!と、常々思っていたそうだ。

「文化施策はともすればお金の無駄と言われかねない。実感が持てるようなスペースをつくりたい」という、情熱に脱帽。こんな意志のある、人の顔のみえる公共空間はきっとおもしろくなる。どんな場に育っていくのか、これからが楽しみです。

PROFILE

菊地 マリエ

公共R不動産/アフタヌーン・ソサイエティ。1984年生まれ。国際基督教大学教養学部卒業。日本政策投資銀行勤務、在勤中に東洋大学経済学部公民連携専攻修士課程修了。日本で最も美しい村連合特派員として日本一周後、2014年より公共R不動産の立ち上げに参画。現在はフリーランスで多くの公民連携プロジェクトに携わる。共著書に『CREATIVE LOCAL エリアリノベーション海外編』。

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公共R不動産の本のご紹介

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