公共R不動産の頭の中
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「ウォーカブルなまちづくりの本質に迫る!」vol.4
道路活用にそびえ立つ高い壁、どう乗り越える?

2020年6月3日に、ウォーカブル推進法(改正都市再生特別措置法)が成立し、さまざまな自治体でウォーカブル推進都市に対する政策が立てられ、試行錯誤が始まっています。そうした試みはどのような都市ビジョンにつながっていくのでしょうか。

第4回目のテーマは道路活用。行政・民間それぞれの立場から道路活用の課題を共有し、より良い活用に向けた検討の場として「道路空間活用勉強会」を有志で立ち上げました。

今回のイベントでは、改めてここ数年間で加速した道路活用促進の動きを振り返り、メンバーが実践してきた道路活用の事例をご紹介しながら、道路活用のこれからについて議論を行いました。勉強会メンバーでもある、公共R不動産コーディネーターの飯石藍が司会進行を務めたイベントの様子をレポートします!

ここ数年で加速した国・行政の道路活用の動き

飯石:まず、ここ数年の道路活用に関する動きを改めて振り返ります。大きなポイントは、これまでは車のため・通過動線だった「道路」を、人々が居心地よく過ごす場所、まちなかの魅力をつなぎ合わせる場所として見つめ直し、再定義するという考え方の変化です。国としても、今までハード面の整備に注力していましたが、人々の暮らしに焦点を当てるソフト面にも言及し始めました。特にポイントとなる制度を紹介します。

まちなかウォーカブル推進事業(2019年7月〜)
車中心→人間中心のまちづくりを進めるために国が掲げている政策。全国312自治体が「ウォーカブル推進都市」として手を挙げて施策を進行中。

道路占用におけるコロナ特例措置(2020年6月〜2021年9月)
コロナ禍における飲食店支援の緊急措置として、沿道飲食店等の路上利用の許可を緩和。全国150自治体、360の事例が誕生。

歩行者利便増進道路制度(通称「ほこみち」)(2020年11月〜)
オープンテラス等の施設が指定された道路に設置しやすくなる制度。

飯石:こうした制度が生まれて道路活用の門戸は開かれましたが、一方で民間事業者が道路を活用するには、国や警察との調整・交渉など多くの壁があります。そんな課題意識を共有し、道路がもっとスムーズに活用されるために必要なことを議論する場として「道路空間活用勉強会」を進めています。まずは今私たちが考えていることについて、メンバーである国土交通政策研究所の梶原さんからお話いただきます。

道路空間活用に立ちはだかる壁とは?

梶原:私は国土交通政策研究所に着任する前は道路管理の現場で働いていました。そこで感じていた課題意識をもとにみなさんにお声がけし、「道路空間活用勉強会」をスタートしました。

道路管理者として感じた課題(梶原さんのプレゼン資料より)

道路管理者として感じていた課題は大きく5つあります。

1つ目は、現場担当者さえ理解できないくらい道路占用制度が複雑であること。
2つ目は、安全に通行できる環境を整備したい道路管理側と、にぎわいを生みたいまちづくり側の対立構造。
3つ目は、官民連携で道路活用を促進する「ほこみち」制度はできたものの、そもそも官民連携で対話するスキルが現場に足りていないこと。また、現場担当者が良い経験を積んだとしても数年で異動してしまい、部署に知識が蓄積されず継続的に取り組むことは難しくなります。
4つ目は、警察協議や保健所や消防の調整など超えるハードルが高すぎること。
最後は、屋外広告物条例の整合です。広告収益を得てにぎわい創出の取り組みに回したくても、現状の制限を外すだけでも大変な手続きが必要になります。

新しい道路活用制度「ほこみち」のポイント

梶原:コロナも後押しになって道路活用がより注目されるようになりましたが、先ほど挙げた3つの制度で一番最初に作られたのは、歩行者利便増進道路指定制度(以下「ほこみち」)です。実はコロナ以前から、国交省では道路空間のオープン化についての議論が始まっていました。

「ほこみち」のポイントは、
・特例区域での占用が柔軟に認められること
・民間事業者を公募で選定できること
・占用可能期間が5年から最長20年に延長されたこと
などが挙げられます。

中でも私が大きなポイントだと考えているのは、道路管理者*1がほこみちや特例区域を指定するという点です。これまで道路管理者は占用申請を受けて判断する立場でしたが、道路管理者が主語になり、自らがにぎわい空間を指定することはとても大きな変化です。

また、車道を減らして歩道を拡げたり、カフェやベンチを設置するなど、道路空間に歩行者のにぎわい空間を整備することが可能な「ほこみち」は、都市再生整備計画で市町村が指定できる「滞在快適等向上区域(まちなかウォーカブル区域)」と組み合わせるとさらに効果が上がります。

*1 道路管理者:ここでは道路の維持・修繕を担う主体のことを指す。大まかにいうと、国道は国、県道は県、市道は市などの道路担当部署。道路占用の許可を行う立場でもある。

「居心地が良く歩きたくなる」まちなかの創出(国土交通省資料より)

これらの制度に通じるのは、道路はただ街と街をつなぐためにあるのではなく街の一部であり、まちづくりの一部として捉える考え方です。これまでは民間事業者・自治体等・道路管理者の目的や意図がバラバラで、必ずしも同じ方向を向いていないケースもありました。「ほこみち」をきっかけに、道路活用がより進んでいくのではないかという期待を持っています。

道路活用を目指す理由(梶原さんのプレゼン資料より)

より良い道路活用に向けた5つの論点

梶原:「道路空間活用勉強会」では、現在大きく5つの論点があります。

1 警察協議
2 屋外広告物の取扱
3 道路空間のしつらえ
4 持続可能な道路空間活用
5 組織と人材等

「警察協議」「屋外広告物の取扱」の論点は私のはじめの課題意識と重複しますが、3つ目の「道路空間のしつらえ」は、人々が楽しく過ごすための空間のしつらえとは?「ほこみち」でどこまでその可能性を拡げられるか?という論点です。

4つ目の「持続可能な道路空間活用」の論点では、民間事業者が道路空間でしっかり収益を上げながら継続的に活用できる形を考えていきたいです。イベントなど単発的な形ではなく、持続可能な活用方法を見出す必要があります。

最後は、「組織と人材」です。公務員の異動の仕組みに左右されず、官民連携や道路空間活用に腰を据えて取り組める組織や、道路・都市・公園を総合的に取り扱える窓口が必要だという議論も行われています。これから様々な事例を紹介していきますが、ぜひこれらの論点も意識していただきながら聞いていただければ幸いです。

事例①東京都豊島区 グリーン大通り

ここから道路空間活用の二つの事例をご紹介します。まずは公共R不動産/株式会社nest(以下nest)の飯石が関わる池袋駅前の「グリーン大通り」のご紹介。

南池袋公園とグリーン大通り(飯石のプレゼン資料より)

エリアの特徴は?
nestは2017年から始まった「グリーン大通り等における賑わい創出プロジェクト」に採択されました。グリーン大通りのすぐそばには、2016年にリニューアルされた南池袋公園があります。安心して過ごせる住民の憩いの場としてにぎわいを見せる南池袋公園に比べると、金融機関などの立ち並ぶグリーン大通りの人通りは少なめです。

どんな推進体制で進めた?
そこでnestは、南池袋公園の「まちのリビング」のような過ごし方がグリーン大通りを始め街に滲み出るようなビジョンを描き、関係者に提案。南池袋公園だけでもグリーン大通りだけでもない、エリア全体での価値の底上げを目指し、グリーン大通り・南池袋公園それぞれのエリマネ団体とも協議をしながら、様々な実験を行ってきました。

プロジェクト初期に描いた、グリーン大通りの将来イメージ(飯石のプレゼン資料より)

どんな社会実験を行った?
地元の飲食店や作家さんなどによる月に1度のマルシェ「nest marche」、良品計画などの地元企業から沿線周辺のプレイヤーまで巻き込んだ年に1度の道路が主役の大規模イベント「IKEBUKURO LIVING LOOP」など、公園と道路が一体となりエリア全体を盛り上げるイベント=社会実験を行いました。

nest marcheの様子(飯石のプレゼン資料より)

道路で音楽ライブをしてみたり、警察協議を重ねてキッチンカーも出店可能にしたり、道路空間の活用の可能性を広げる実験も。また、植栽整備のワークショップやストリートファニチャーの設置実験をしたり、LEDではなくやわらかな明かりを街に灯す照明の実験など、新たなハード面の整備に向けた検証も重ねました。

IKEBUKURO LIVING LOOPでのストリートファニチャー設置実験(飯石のプレゼン資料より)

どのような効果が見えてきた?
そんな取り組みを通して見えた利用者目線での使い方がハード整備に反映され、緑豊かな植栽帯の整備、やわらかい光の照明、照明下のイベント用電源、給排水の整備などが実現!実験で設置したストリートファニチャーも常設され、徐々に街の風景に変化が見られるようになりました。

実験の成果が反映されたグリーン大通りのハード整備(飯石のプレゼン資料より)

今後の課題って?
今後の大きな課題の一つは、事業性を担保した上での持続可能な空間活用です。

ほこみち制度を活用して収益施設を設置して賃料収入を得たり、イベントや場所貸しだけではなく、サブリース、広告、寄付など事業のチャネルを複数持ったり、道路だけではなく公民両方のアセットを活用していくことで持続可能な運営方法等も継続して検討しています。

事例紹介②栃木県小山市 祇園城通り

続いて、栃木県小山市の「祇園城通り」を中心としたエリアの公共空間活用をご紹介。小山市都市整備部技監の淺見知秀さんにお話をいただきました。

エリアの特徴は?
「祇園城通り」は小山駅前から伸びる市のシンボルロード。昔からの市民の憩いの場である「思川」へと続く大通りですが、沿道店舗は銀行や不動産屋が多く、人通りの少ないエリアだったと言います。周辺には城山公園や御殿広場など、大きめの公園がいくつかあるエリアです。

小山市のまちなかにおける公共空間(淺見さんのプレゼン資料より)

どんな推進体制で進めた?
当初は小山市の都市整整備部が主導する庁内横断型のチームが先導し、テラスオヤマの実行委員会形式で動いていたそうですが、現在は実行委員会を担当する部署をつくることができたと言います。

また、栃木県企画のリノベーションスクールで提案した事業であるため、それを丁寧に説明することによって警察協議などもやりやすくなったのだとか。また、栃木県を巻き込んだ公共空間活用に関するシンポジウムを行って気運を高め、公民連携の必要性を小山市内外に周知や、地元の大学生を巻き込みSNSでの広報活動を行うなど、多様なプレイヤーとのつながりを重視していることが伺えます。

どんな社会実験を行った?
祇園城通りにはそもそも歩行者が気軽に立ち寄れる目的地が少なすぎる、という課題感から飲食店出店のきっかけになればと、2019年にスタートしたのがオープンテラス実験「テラスオヤマ」。歩道空間にテーブルやイスを並べ、人がくつろぐ空間をつくり、にぎわいをつくる社会実験です。

小山市・テラスオヤマの様子(淺見さんのプレゼン資料より)

初回1ヶ月間限定・昼営業のみで5店舗が出店。2021年現在、夜間営業含む、最長183日間の社会実験が合計6回実施されています。回数を重ねるうちに参加店舗数や期間も増え、今では5つの新規出店者含む、計13店舗もの出店があるそう。

どんな効果が見えてきた?
徐々に街の風景に馴染み、地域のニュースに取り上げられるなどして知名度もアップ!コロナで一時期減ってしまいましたが、テラスオヤマ以降、歩行者が増えたこともわかっているそう。そんな活動を続けるうちに、「祇園城通り」だけではなく、川辺や広場など周辺のエリアにも良い波及効果が生まれていると言います。

小山市のまちなかの公共空間周辺に起こった変化(淺見さんのプレゼン資料より)

住民の憩いの場である「思川」ではマルシェや水面上でのSUPヨガイベントが定番になったり、周辺の広場でもマルシェが定期的に行われて大盛況になり、祇園城通りでもコーヒーイベントが開催されるなど、公共空間を利活用しようという方針が呼び水となり、地域の様々なプレイヤーがエリアの盛り上げに参画するようになったそう。

さらに、周辺でコワーキングスペースなど新規事業を始める人も増え、空き店舗が減少してきたとのこと。並行して進められている小山市による再開発によって若者も増え、お祭りなどの行事も復活したり、様々な角度からの効果が見え始めているそうです。

今後の課題って?
そんな順調に見える小山市でも、広報、関係機関との調整、出店の誘い出し、安全対策、体制づくりなど、様々な課題があると言います。広報面ではSNSでPRをしたり、フライヤーを作成して市内の様々な場所に配布したり、地道な努力も欠かせないと淺見さんは言います。

最終的には人々の都市の居場所になるために、そこに行けば誰かがいる、いつも何かがある、安心して過ごせる環境づくりを目指して、「ほこみち」適用を目指しているとのこと。まだ新しい制度ということで、関係機関の調整や安全面の確保など壁は大きく、時間をかけて検討したいという道路管理者と頑張って協議していきたいと話します。

ディスカッションタイム!道路空間活用の価値って?

後半は、土地総合研究所の佐々木さんからの論点整理を経て、みんなでディスカッションタイムに入りました。

道路活用勉強会のメンバーによるディスカッション

道路空間の強みとは?

佐々木:土地総合研究所の佐々木です。道路はどの市町村にも必ず存在する空間で、街の中では比較的に賑やかで市民にとっても身近な空間です。今日の皆さんの話を聞いて、そんな道路空間の強みを活かしていければと改めて思いました。が、やはり警察協議の難しさや、建物をつくれないために暫定利用に限定されてしまうなどの課題はあります。

道路空間活用の強み(佐々木さんのプレゼン資料より)

しかし、例えばウィーンでは道路の真ん中にお土産屋さんがあるエリアがあります。道路に建物をつくれないのは日本独自の制度でもあります。様々な制約条件を少しずつ緩和するためにも、チャレンジを重ねていくことはとても重要です。

また、道路空間活用の課題は具体的なケースを踏まえてクリアしていくしかないですが、僕らの役割としては何種類かある制度の使い方を整理して、ケースに応じた提案ができるようにしたいですね。
 

道路空間で「稼ぐ」ことはできるのか?

竹井:国土交通政策研究の竹井です。もともと大和リースで公民連携を担当していました。今日のみなさんの話を聞いて、やはり道路空間活用は「儲かる」ものではないんだなと感じました。居心地の良さと儲ける仕組みづくりを両立するのは難しいのかもしれないと感じました。

飯石:稼げるエリアと稼げないエリアの差はありますよね。道路に限らず公園もそうですが、都市の中心地でなければ、稼ぐことだけを目的にするのは難しい。その場合は公共的な目的を強くするなど、バランスをとりながら考える必要がありますよね。

淺見:都市の中心エリアじゃなくても、見る人が見るとビジネスチャンスになる場合もあると思います。廃れた駅ビルや、安く購入できる空き物件をどう変化させるのか?という視点で考えることが大事だと思います。

飯石:小山は、祇園大通りでのにぎわいづくりを通じてエリア全体がよくなった好事例ですよね。
 

道路空間活用の成果を「都市経営」の視点で評価する

淺見:今後は、そういったエリア全体を見据えた活動を誰が支えていくのか?という運営体制に関する問題がありますね。初期は、関係者が頑張ってそのエリア全体を盛り上げる期間が必要ですが、その後はどうするか?同時に、その効果の評価方法もこれからの課題です。

飯石:評価はストリートマネジメントの大きな課題ですよね。民間事業者もすぐに道路空間活用と聞いてもピンとこないし、稼ぐ道も見えにくい。

今:池袋のグリーン大通りの社会実験を重ねたことで、子育て世帯が増えたのではないでしょうか?小山市もそうで、広い空間でベビーカーを持っていけたり、こどもとご飯が食べられるって親からするとすごくありがたくて。それによって小山市でも若い世代が増えたり、再開発の価値が上がっていて、道路自体で儲けられなくても、都市経営という視点では結構プラスなのではないかと思うんです。

佐々木:確かに、道路で単発的なイベントで儲けようと思うのは難しいです。周辺の店舗事業やマンション販売などとうまく連携し、エリア全体の価値向上とセットで考えることが必要ですよね。その上で、道路活用と収益をいかに一体化していくか?が今後の論点ですね。

最初この勉強会を始めた時、「道路だけじゃ儲からない」という飯石さんの声は僕らからすると衝撃的だったんです(笑)。でも、行政がずっとお金出し続けるのもむずかしいのも現実。行政だけではなく、周辺の住宅オーナーなどの民間事業者のメリットを前提にして収益事業を仕込んでいくことが大事ですね。

梶原:道路が盛り上がったことで周辺の空き店舗にテナントが入り、エリア全体が盛り上がったという小山市の事例を聞いて希望を感じました。道路だけでは稼げないけど、道路を盛り上げて街全体が元気になると様々な波及効果を持つ可能性があるのだなと。それは道路管理者にも伝えて、みんなで道路をうまく使っていく気運を高めたいと思いました。

飯石:グリーン大通りも道路だけでは持続的な活動は難しいので、地下道、空きビル、様々なアセットをもとに活用を考えました。今の議論で、「道路が活用されたことでエリア全体に価値が広がった」ことを測る指標があればいいですよね。

国土交通省が検討している公共空間活用の質的な評価指標に加えて、周辺の不動産地価の変動値や出店者の増加などを入れて、道路空間活用を通した都市経営への波及効果を一つの価値として捉えられるといいなと。数字として見えると道路活用への期待が高まり、参入したい人も増えていきますよね。

梶原:価値を数字で見せるのは、地域の理解促進や道路担当者の動機付けにとっても大事ですよね。これからのテーマですね!
 

道路活用の実験・練習を重ねてできることを積み上げていく

梶原:ほこみちを導入するには広い幅員が必要になるのですが、それが難しい自治体等は、例えば時間帯によって使い分ける形もあるんじゃないかなと思っています。交通量が少ない時間は車道を歩行空間化すると言った形で。

飯石:いいですね。丸の内仲通りもランチの時間は通りを封鎖して広場化していますし、そもそも歩行者天国という仕組みが日本にはあるのでできないことはなさそうですよね。

今:ほこみちの導入について、道路管理者がほこみちを指定することが新しい、という話が梶原さんからありましたが、そもそもそれが新しいというのはどういう意味合いだったんですか?

梶原:道路管理者側も、道路活用したいという思いを持っていた方もいたはずなんです。ただその声がこれまでは大きくなかったので組織の内外に届きづらく、なかなかアクションに移せなかった状況もあったんじゃないかなと。そんな中、飯石さんや浅見さんのように、まずは実験をしながら開いていくということをすることで、道路管理者側も活用することに対して勇気を持てそうだなと感じています。

飯石:まずは民間の方と組んで社会実験的に活用するということをやってみて、次のステップに進んでいくという形が良いと私も実践の中で感じています。警察、行政、民間それぞれが使い方を理解することが大切ですよね。

様々な立場の知恵を集めて道路活用を考えていく

飯石:道路活用の動きはステークホルダーも多いし制度も複雑なので、色んな立場の方の知恵を持ち寄りながら課題を整理し、より多くの方が道路活用に関わりやすい状況を作り出していく必要があるなと感じています。今後もこういった場を定期開催していこうと思っています。ほこみちの制度を作った国の方に聞いてみたり、ほこみちを実践している話を聞いたり。あとは活用することで整備が進んでいくという事例についても伺ってみたいと思っています。もしこんな事例知ってるよ、という方はぜひご連絡いただけたら嬉しいです。
引き続きこのトークイベントシリーズを楽しみにしていただけたらと思います。本日はありがとうございました。
(2021年7月15日、オンラインにて実施したものに一部加筆・編集)

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淺見知秀(あざみ・ともひで)
小山市都市整備部技監
2009年JR東日本入社、仙台配属当時に東日本大震災を経験し震災復興に従事。2015年国土交通省に転職。2017年小山市に出向し、3年間都市整備部長として公共空間利活用によるウォーカブルなまちづくりを推進。2021年より現職。専門は交通計画、公共交通の利用促進。

梶原ちえみ(かじわら・ちえみ)
国土交通政策研究所主任研究官
2006年国土交通省入省。本省業務の他、東京国道事務所、横浜国道事務所などで道路の整備・管理業務を経験。2度の育休を経て、2018年より東京国道事務所にて渋谷、新宿、日本橋などの交通結節点整備や道路空間活用に携わる。2020年より現職。現場で感じた課題意識から道路空間活用についての研究を始め、当勉強会の発足を呼びかけ。

今佐和子(こん・さわこ)
国土交通省 関東地方整備局 都市整備課長大学院にて都市計画を勉強後、2010年IT企業に入社。2013年国土交通省入省。まちづくり推進課や新潟国道事務所を経て、2018年より約2年街路交通施設課にて、クルマ中心から人中心、ウォーカブルなまちづくりを全国に広める政策に携わる。育休を経て2021年7月より現職。

佐々木晶二(ささき・しょうじ)
1982年東京大学法学部卒業、建設省入省。岐阜県都市計画課長、建設省都 市計画課課長補佐、兵庫県まちづくり復 興担当部長、国土交通省都市総務課 長、内閣府防災担当官房審議官、国土交通省国土交通政策研究所長を経て、現在は(一財)土 地総合研究所 専務理事などを務める。

竹井昭彦(たけい・あきひこ)
国土交通政策研究所研究官
1997年大和工商リース株式会社(現大和リース)入社。主にPPP専任担当としてPPP案件の企画立案の支援業務に携わる。PFI事業、PRE(公有地活用)、包括施設管理事業、民間提案制度など幅広く経験し、行政課題や社会課題の解決に邁進中。2020年より現職へ出向。

飯石藍(いいし・あい)
公共R不動産 コーディネーター/株式会社nest 取締役
公共R不動産の立ち上げから参画。クリエイティブな公共空間活用に向けたメディア企画・プロジェクト推進、新たなマッチングの仕組み「公共空間逆プロポーザル」等のディレクション等に携わる。また、2017年からまちづくり会社”nest”の取締役として、地元豊島区の公園”南池袋公園・グリーン大通り”の企画・エリアマネジメントの戦略検討・事業推進など、池袋駅東口のエリア価値を上げていくための公共空間活用プロジェクトを推進している。

 

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PROFILE

阿久津 遊

1988年宮城県生まれ。ワークショップ等のこども向けプログラムの企画運営に携わり、公共空間活用に関心を持つ。2018年から公共R不動産にライターとして参加。

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