公共R不動産のプロジェクトスタディ
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市役所×まんがの幸せな関係
こども未来センター

駅徒歩12分なのにこんな贅沢な広場が!

子ども未来センターって。

いかにも子育て系公共施設にありそうな名前。こういった施設は往々にして子ども関係の大人が使っていたりしますが、この施設には本当に子どもがわんさかいます!なぜって、まさかの4万の蔵書を誇るまんがパークがはいっているのです!!

しかも、ダラダラしてくださいと言わんばかりの、心地よい畳マットや押し入れ風おこもり空間。リラックスした雰囲気のなか、子どもと同じくらい大人も楽しんでます(笑)

庁舎っぽくない旧庁舎の秘密

こちらの建物、実はもともと立川市の第二庁舎。現在はまんがパークとともに、子育て、市民活動、芸術活動を支援する公共施設となっています。

でも、パッと見、まったく市役所っぽさがありません。その理由のひとつは旧第一庁舎を取り壊してつくられた大きな広場。ステージにも観客席にもなる、気持ちいい芝生の絨毯です。広場と施設をつなぐ、縁側のようなウッドテラスもオシャレ。

また、旧庁舎時代の駐車場の木立を残したり、建物廊下の曲がったコーナーをかわいく活かしたり。あか抜けつつも昔の記憶がさりげなく、ほっこり残っています。

Studio-Lプロデュースの市民活動

この施設のイキイキ感を醸し出しているのは、ハードに加えて、使われ方。なんと、コミュニティーデザイナーの山崎亮さん率いるStudio-Lが市民活動のコーディネーターを担っているのです。WEBサイトを覗くと、毎日のように楽しげなイベントが開催されてます。

なぜ、こんな自由な空間が実現したのか?

色々書きましたが、この空間の真の仕掛け人は立川市さんです。というのも、通常は「○○をやってくれる事業者募集」と、やることを決めて募集をかけるところ、今回は最低限必要な機能を盛り込むほかは、にぎわいを生み出す役割については、自由にアイディアを提案してもらうようにしたのです。

こうして実現したのがまんがパーク。自由とはいえ、公共施設でまんがって、相当な覚悟が必要だったと思います。でも、こんな多くの人が気軽に使える公共施設って、案外ありませんよね。「公共」って、みんなのハッピーを目指しているはず。ならこれも、ある意味正しい公共施設のあり方かも?そんな未来に想いを馳せるセンターなのでした。

PROFILE

菊地 マリエ

公共R不動産/アフタヌーン・ソサイエティ。1984年生まれ。国際基督教大学教養学部卒業。日本政策投資銀行勤務、在勤中に東洋大学経済学部公民連携専攻修士課程修了。日本で最も美しい村連合特派員として日本一周後、2014年より公共R不動産の立ち上げに参画。現在はフリーランスで多くの公民連携プロジェクトに携わる。共著書に『CREATIVE LOCAL エリアリノベーション海外編』。

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