公共R不動産のプロジェクトスタディ
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水辺の賑わいをもう一度
Ferry Building Marketplace

象徴的な時計台のある建物

フェリーの発着所がマーケットに

1800年代のゴールドラッシュの時代から始まり、かつてのサンフランシスコのベイエリアには多くの船が行き交い、活気に満ちた場所でした。この「フェリービルディング」も1898年に建てられ、最盛期には、1日に数万人もの利用があったところです。ところが、1930年代に入り、ベイブリッジやゴールデンゲートブリッジの開通と共に、自動車やバスへと交通手段が変化し、徐々にフェリーを利用する人は減少していったそう。そんな中、新たな賑わいの場としてオフィス、マーケットへ機能を変えて今に至ります。幾度かの改修を経ていますが、2003年に、「フェリー・ビルディング・マーケットプレイス」としてリニューアルオープンし、当時とはまた違った、新しい賑わいがそこには生まれています。

歴史的建造物だからこその空気感

歴史あるこの建物は、水辺に平行するように200mあり、中央部分は3層分の大きな吹き抜けとなっています。そして、鉄骨のトラスやレンガからは自然と歴史が伝わってくるような感じ。外観には、シンボリックな時計台。このフェリーターミナルだからこそのダイナミックな空間の魅力をとてもうまく引き出しています。

商業部分には、40〜50件ほどの専門店が軒を連ね、サンフランシスコならではのオーガニック食品を扱う店など、たくさんの人気店が集まっていて、いつも人でいっぱい。新しいランドマークとして連日賑わいを絶やさない場となっています。

水辺の魅力

建物のむこう側は、もちろん海。だからそれぞれの店舗にはテラス席が設けられ、海を望みながら食事を楽しむことができます。
このフェリーターミナルは、今もなお稼働しており本来の目的でも利用されています。船を待つ人や海沿いを散歩する人など、さまざまな目的で訪れた人が風景をつくっているのもこの施設をより魅力的にしているのでしょう。

PROFILE

大橋 一隆

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