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公共R不動産のプロジェクトスタディ
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大分駅前にタタミ200畳のホコ天
大分市中央通り

JR大分駅前の大通りで開催される「大分市中央通り歩行者天国」。目を引くのは200畳ものタタミが敷き詰められたマチナカ座敷です。開催ごとに盛況さを増すこのイベント。この成功の裏にはどんな工夫があるのか。取材しました。

タタミ敷スペースには家族や仲間でくつろぐ姿が多数。タタミはごく軽く運搬しやすいもの
タタミ敷スペースには家族や仲間でくつろぐ姿が多数。タタミはごく軽く運搬しやすいもの

「マチナカ座敷でのんびりと」

2017年4月16日、JR大分駅北口に位置する大通り約420メートルで、イベント「大分市中央通り歩行者天国」が行われました。駅前の商店街を含む中心市街地に賑わいを取り戻そうと、企画されたものです。目を引いたのは、200畳ものタタミが敷き詰められたマチナカ座敷です。子供から高齢者まで延べ2万8000人の市民が訪れ、食事をしたり、ビールを飲んだりと、思い思いにくつろいでいました。このタタミ敷きは、イベント開催当初、どうずれば400m超にわたる広さを感じながら楽しんでもらえるか悩んだ末にたどり着いたアイデアだとか。今は出店(でみせ)も増え、日田市や佐伯市、豊後高田市、豊後大野市など大分県各地の観光PRのブースも加わり大盛況!

観光PRブースの様子。日田の下駄のほか竹田の名水で淹れたお茶、国東のオリーブオイル、玖珠の巨大鯉のぼりも

「毎回、市民発案のコンテンツが増加」

週末の午後、大分駅前のメイン道路6車線を封鎖して行われるイベント。商店街の出店した飲食ブースはもちろん、ラグビーワールドカップにちなんだラグビーゾーンがあったり、一般から募集した参加者がパフォーマンスを披露するフリーゾーンがあったり、毎回趣向を凝らしたコンテンツが企画されています。普段は車が中心になっている駅前通りに非日常の風景が作り出されています。

市民が自主的に企画したヨガ教室

「スタートは交通社会実験から」

もともとこの歩行者天国は2005年から2007年まで、市が事務局となり、中央通りの道路の交通社会実験として年1回のペースで行っていました。中央通りの歩道を広げ市民が集いやすい環境を作り、中心市街地に賑わいを取り戻すべく、道路の整備に着手する計画。その前にまず、歩道を広げた際の集客と、周辺の車の渋滞状況などについて実験・調査に取り組んだもの。

その後、JR大分駅の建て替えなどで中断したのち、2016年10月から再開。今度は、まちの賑わいづくりのための歩行者天国としての位置づけです。そこからは3カ月ごとに開催するようになりました。

再開後の第1回の経費は前後の交通規制を含め約6時間で約1200万円。うち半分がタレントの出演料、約3割が警備の外注費でした。その後、経費は徐々に節約され、第3回に当たる2017年4月の開催時では約600万円まで削減しました。

主催の大分市歩行者天国推進委員会委員で大分大学助教の姫野由香さんは、「回を重ねるごとに、費用のかからない市民が自由にパフォーマンスできる面積を増やすなどして経費削減につなげています」と話します。

「車道空間を歩く“非日常感”がいい!」 

来場した市民の多くが歩行者天国を気に入り、開催4時間のうち2,3時間滞在した人も少なくありません。利用者のアンケートによれば、歩行者天国の良かった点について、意外なことに36.7%の人が「車道空間を歩くこと」を挙げ、「有名タレントなどのライブ」を挙げた人は19.5%にすぎません。

前述の姫野さんはこう話します。「公共空間を生かすには、タレントライブなどのサービスを提供して“もらう”ことを望むのではなく、市民自らが空間を上手に楽しむ、あるいは参加して楽しい空間をつくるといった当事者意識が必要です。この歩行者天国は、そういう意識醸成の機会になっていると感じます」。

現在、歩行者天国開催中は商店街の集客も増加傾向だとか。市民たちは今後の持続的な開催を期待しているようです。

文:介川亜紀
撮影:姫野由香

PROFILE

介川亜紀

ライター
介川亜紀

建築、不動産、都市計画、UDがフィールドの編集者。特に、建築や都市の再生に興味津々で全国を飛び回っている。自らも約築40年のマンションに住み、自邸のリノベーションのほか理事として大規模修繕、インフラの刷新に取り組む。昨今は時代に合う住まいや暮らしの在り方についても再考中。

ライター
姫野由香