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公共R不動産のプロジェクトスタディ
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世界初・体育館市役所
氷見市役所

確かに外観は体育館そのもの
確かに外観は体育館そのもの

ここ10年で4,222校。

これは廃校となった学校の数です。しかし、まさかその廃校を、まちの本丸(!?)ともいえる市役所にしてしまったという例は、日本で、いやもしかしたら世界でも、この氷見市役所だけではないでしょうか。
以前の庁舎は、老朽化で建替えが急務となっていたものの、津波の想定浸水地域に位置していたため、同じ場所での建替えは困難。そこで、なかば苦し紛れに出された案が、廃校となっていた旧有磯高校の体育館を使うというアイディアだったそうです。
もともとこの学校には体育館が2つ、しかも平成以降に整備されており、最小の改修でリノベーションが完了。耐震化関係の補助金、及び木質化の補助を受け、約19億円の総工事費のうち、市の負担はたったの8億円で済んだとのこと!

でも、ダサいんでしょ?

なんて思ったら大間違い。体育館だった面影は全くなく、かといって既存の市役所ではあり得ないような、かなりオープンでユニークな空間です。
1階部分は市民向けの窓口業務。ワンストップサービスを目指した設計で、天井の色分けされたパイプにより、オレンジは子育て関係、黄色は介護関係といった具合いに、市民から見たわかりやすさを重視したデザインとなっています。
驚くのが、2階の天井のダイナミックなデザイン。これは過剰な装飾ではなく、天井の高い体育館で光熱費節約のために編み出した工夫だそう。さらに、大きなスペースをとる空調設備も、ホワイトボードで囲って、敢えて通路の真ん中に。ちょっとしたプレゼンや掲示物ができるスペースとなっていて、エコと実用性が見事に両立しています。

プロセスを変える

この型破りな庁舎は、プロのファシリテーターである市長が、アイディア段階から市民の意見を取り入れながら実現したものだそう。そういえば、エントランスのすぐ右側にはお洒落な地域共同スペースが3室あって、楽しそうにワークショップをやっていました。
なるほど、プロセスを変えると、こんなにもアウトプットとしての空間は変わるのか…。必要は発明の母。ピンチをチャンスに転換した素晴らしい庁舎です。

PROFILE

菊地マリエ

ライター
菊地マリエ

公共R不動産/アフタヌーン・ソサイエティ。1984年生まれ。国際基督教大学教養学部卒業。日本政策投資銀行勤務、在勤中に東洋大学経済学部公民連携専攻修士課程修了。日本で最も美しい村連合特派員として日本一周後、2014年より公共R不動産の立ち上げに参画。現在はフリーランスで多くの公民連携プロジェクトに携わる。共著書に『CREATIVE LOCAL エリアリノベーション海外編』。