公共R不動産の頭の中
公共R不動産の頭の中

暑すぎる夏、公園の主役は夜へ。グラングリーン大阪で実証実験「Night Park」を実施しました

今年も暑さが厳しかった日本の夏。35℃超えの猛暑日が続き、昼の公園が使いにくい状態でした。そこで注目したのが「夜の公園」。2025年7月、子どもに安全で大人も心地よく過ごせる、そんな新しい公園の可能性を探る実証実験「Night Park」をグラングリーン大阪で開催しました。当日の様子を振り返ります。

パークナイズが進行中。しかし、暑すぎる…

「都市は公園化したがっている」。OpenA/公共R不動産はその動きを Parknize(パークナイズ) と名付けました。公園に新しい機能を掛け合わせることで可能性を拡張したり、都市に残された空地を公園のような空間に変換したり。そんなパークナイズのムーブメントが全国各地で注目されつつあります。

しかし、近頃の日本では30℃を超える日が年々増え、夏の期間は35℃越えの猛暑日が続くことが当たり前になってきました。子どもたちはせっかくの夏休みなのに、熱中症の危険から公園などの屋外では遊べなくなっています。いくら都市が公園化しても、近年の気候変動によって一年の内で使える期間は限られてしまい、もったいないことに…。

夜の公園の可能性

そこで「夜の公園」の可能性に着目しました。僕たちは静岡県沼津市で『泊まれる公園 インザパーク』を運営しており、公園を舞台にオールナイトの野外映画フェスや夜市などの企画が行われて、昼間にはないにぎわいが広がっていることを実感しています。

日差しのない夜の公園の活用をもっと考えたい。熱帯化が進むこの国で、子どもたちが安全に遊べて、見守る親も楽しめる公園のあり方はないだろうか?また、子どもやファミリーだけでなく、若者やカップルなど幅広い層が公園で楽しく過ごす新しいかたちがあるのではないか?これから公園の主役は、きっと夜になるはず。

そうした仮説のもと、2025年7月11〜13日の3日間、グラングリーン大阪にて実証実験を行いました。その名もNight Park。

公園の夜間利用には安全性、エネルギー、整備コストなどいくつものハードルがあるので、まずは仮設的にやってみました。

グラングリーン大阪でイベントを企画運営する「うめきたPUBLIC scoop」のプログラムとして、ナイトタイムを軸としたプロジェクトデザインを行う「合同会社NEWSKOOL」と「株式会社OpenA」のPUBLICWAREチームが協働で企画・実施。

「夜の公園の新しい可能性」を探る場として、うめきた公園にて、光る遊具や家具、什器などのプロダクトを展開しました。当日の様子を振り返っていきます。

※PUBLICWAREとは、公共空間をもっと気軽に使いこなすためのツール・アイデア・サービスを集約したプラットフォームのこと

グラングリーン大阪にて、Night Park開催

グラングリーン大阪は2024年9月の先行まちびらきに続いて、今年3月にグランドオープンを迎えた大阪駅前の再開発プロジェクト。なんといっても広大な芝生広場が特徴で、今回はこの広場の一角を使ってNight Parkの実証実験を行いました。

当日の日中は35℃を超える気温だったにも関わらず、少し日が落ちて涼しくなった時間帯には広場に人が溢れ出していました。都市の中で公園を求めるニーズの高さとNight Parkの可能性を感じる風景であり、最初の実験の場としては最高の舞台となりました。

準備した什器は、木馬やシーソー、カートなどの簡易的な遊具たち。それぞれ屋外使用を想定して防水・耐候性の高い樹脂ボードを素材とし、そこにLEDを仕込むことで光がゆらぐような仕様で開発を行いました。

これらはすべて組み立て式となっており、結束バンドによって固定されるつくりになっています。ポップアップ式のイベント什器では輸送・運搬が課題となるため、そこを解消すべく、すべて分解すると宅急便で送れるようなデザインとしました。また、それに加えて光るフラフープやシャボン玉など、芝生広場で光を伴いながら遊べるおもちゃも貸出して楽しんでもらえるようにしました。

その遊具などで遊ぶ様子がこちら。

すぐ隣に水遊びができる噴水があったこともあり、夕方からそこで遊んでいた子どもたちがそのまま流れてNight Parkを楽しんでくれました。

夜の光を使った演出といえばイルミネーションやメディアアートが定番ですが、それらは基本的に眺めて楽しんだり、インタラクティブに反応するもの。一方で自分の動きに合わせて光が揺らいだり動いたりする遊具は、より直感的で親しみやすい光の遊び体験としてNight Parkらしさを表現できたような気がしました。

今回の実証実験によって分かったのが、子どもだけでなく、大人のニーズとしても可能性があるということでした。

場所柄もありますが、平日や休日の20時以降はカップルや若者が多く利用し、楽しんでいる様子がありました。子どもたちがアクティブに遊んでいる風景とはまた違い、少しのんびりとチルすることを促すツールとして機能していたように思います。そもそも公園はあらゆる世代を受け入れるべき場所。できるだけ幅広い層に広がるような仕組みづくりにつなげていきたいと思います。

Night Parkを一緒につくる自治体、企業を募集中

今後は、自治体やディベロッパーのみなさまとタッグを組んで、公共地・民地問わず、展開していきたいと思っています。公共インフラ系、エネルギー系企業、遊具メーカーなどとのコラボレーションも検討しています。収益性、事業スキーム、運営などを総合的に考えながら、恒常的にNight Parkを実現する道筋をつくっていきたいと思います。

ご興味のある自治体・企業のみなさま、ぜひご連絡をお待ちしています!

関連

INN THE PARKから見る、公民連携と未来の公園像(前編)

連載

すべての連載へ

公共R不動産の本のご紹介

クリエイティブな公共発注のための『公募要項作成ガイドブック』

公共R不動産のウェブ連載『クリエイティブな公共発注を考えてみた by PPP妄想研究会』から、初のスピンオフ企画として制作された『公募要項作成ガイドブック』。その名の通り、遊休公共施設を活用するために、どんな発注をすればよいのか?公募要項の例文とともに、そのベースとなる考え方と、ポイント解説を盛り込みました。
自治体の皆さんには、このガイドブックを参照しながら公募要項を作成していただければ、日本中のどんなまちの遊休施設でも、おもしろい活用に向けての第一歩が踏み出せるはず!という期待のもと、妄想研究会メンバーもわくわくしながらこのガイドブックを世の中に送り出します。ぜひぜひ、ご活用ください!

もっと詳しく 

すべての本へ