公共R不動産 コアメンバー紹介|飯石 藍

ただいま公共R不動産でプロジェクトメンバーを募集しています。公共R不動産の業務をプロジェクト単位で契約し、コアメンバーとともに業務を遂行するメンバーです。そこで改めて公共R不動産のコアメンバーをご紹介。これまでどんなプロジェクトを担当してきたのか、体験談や活動に込める想いをお伝えします。

経歴を教えてください

飯石 藍(いいし・あい)

・北海道札幌市出身。東京都豊島区在住
・上智大学文学部新聞学科卒業
・アクセンチュア株式会社にて自治体向けの業務改善支援業務等に従事。
・企業CSRの企画立案及び実行支援、全国のNPOの経営支援等を手がける企業での勤務
・2013年からフリーランスとして独立。全国各地の公民連携・リノベーションまちづくり等のプロジェクトに関わる
・2014年から公共R不動産の立ち上げに参画。
・地元豊島区での暮らしを面白くするイベント「としま会議」のキュレーターや、2017年からは株式会社nest取締役として、池袋東口グリーン大通りや南池袋公園周辺のエリア価値を上げていくための都市戦略及び社会実験「IKEBUKURO LIVING LOOP」と検証を重ねながら新たな都市ビジョンを描き出すプロセスデザインに従事。
・2017年から、都市デザインを軸とした「リージョンワークス合同会社」にも参画。ディレクターとして企業のエリア戦略策定支援、持続的なエリアマネジメントの仕組み作りなどを推進。
・2020年から、シビックテックを活用した参加型まちづくり・新たな自治の仕組み作り「make our city」プロジェクトにも取り組む。
・グッドデザイン賞審査員(2021年〜)

公共R不動産のプロジェクトで特に印象深いものは?

立ち上げから関わっているので印象的なことだらけですが、特に思い出深いのは「公共空間逆プロポーザル(逆プロポ)」の企画です。もともと公共R不動産の書籍を作るにあたって「妄想コラム」という枠で、もっと公共空間が楽しくなるためのアイデアコラムを何本か書いているなかの1つです。行政が仕様を決めて活用事業者の募集を出すのではなく、民間が柔軟な発想でビジネスアイデアを提示し、それの実践の場として自治体が公共空間を提供すべく手を上げるという、通常のプロポーザルの「逆」の流れができたらもっと活用が進むんじゃないかと思って妄想してアイデアです。

その後、内部の打ち合わせで「これ、妄想してみたんだから実際にやってみない?」という話が出て、イベントとして実際に企画してみることになりました。妄想したとはいえ細かい部分は考えていなかったので(笑)、プレゼンターとなる民間の方と、物件を提供してくれる自治体の方へのそれぞれに企画を説明し、1回目の開催に至りました。

2018年9月に初開催した『公共空間 逆プロポーザル』

最初はドタバタで本当にうまくいくのか不安でいっぱいでしたが、蓋をあけたら46の自治体が手を挙げてくださり、大盛況のイベントとなり、継続することになりました。そして実際に逆プロポを通じて案件につながったり、トライアルでの実証実験が始まったりと、物件のマッチングという枠をこえて行政と民間の間で新たなパートナーシップが生まれています。

妄想を形にする、行政とクリエイティブな民間の間をつなぐ、という公共R不動産らしい公共空間活用のアプローチが一つ実現したと感じた事業のひとつです。

あなたが考える公共R不動産らしさ、特徴とは?

公共空間の活用と一言にいっても、法制度・行政財政の削減・ファシリティマネジメント・エリア価値の向上・不動産流通・活用事業スキーム構築・効果的な情報発信・民間事業者との公平な契約のあり方・地域経済循環を生む事業のかたち、などなど、考えるべき要素は多岐にわたります。

公共R不動産では、編集・不動産・再開発・まちづくり・設計・運営・公民連携など様々な分野に特化したメンバーが関わっていることで、複雑・複層にわたる課題解決・アイデアを生み出すことができる、しなやかで多様なチームだなと感じています。

公共R不動産をやる中で、どんなことにやりがいを感じますか?

公共R不動産での活動を見てくださったり相談をいただく方が、行政・民間問わず「公共空間ってもっと楽しく使えるんだ!」という気づきを得て、さらにアクションしていく人が増えている状況はとても嬉しいなと感じています。

行政の場合は具体的な活用実験を進めたり、トライアルサウンディングを導入して実験のプロセスを進めたり、あるいはもっと民間に情報を届けて反応をみるべく「公共不動産データベース」を活用していただいたりすることが増えていますし、民間の場合はこれまで公共空間に関心のなかった方が興味を持って実際の活用に進んでいったり、まずはどんな物件があるかを知るために「公共不動産データベース」へアクセスいただく方もとても増えています。

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公共R不動産でこれからチャレンジしていきたいことは?

公共R不動産が始まって5年。その間に、公共空間を取り巻く状況は大きく変化してきています。都市公園法の改正、全国各地での公共空間を活用した社会実験、水辺や道路の活用などなど。全国各地でおもしろい活用事例が増えていることはとても嬉しく、その機運を作り出すことに少しは公共R不動産も寄与できたのかな?と手前味噌ながら感じています(笑)。

改めて公共R不動産の立ち上げ時の想いに立ち返ると、もともとR不動産グループは市場原理では扱われなかった物件を編集し、流通する動きを作り出し、「ほしい暮らしに合わせて住まいをリノベーションして暮らす」という文化を作り出していきました。

公共R不動産の思想も全く同じです。街のあり方そのものを変えていくポテンシャルがあるけれど、多くの人に公共空間の情報や魅力が届いていないことがもどかしい。多くの人の目にはお荷物と思われているような廃校や公園、庁舎や道路といった公共空間の見方を変えていきたい。そんな想いから公共R不動産はスタートし、メディアを軸にしながら、企画やコンサルなど、幅広いアプローチで公共空間活用に取り組んでいます。

「未来の風景や仕組みを妄想し、発信し、かたちにする」

公共R不動産の活動はすべてこの信念で動いています。公共空間活用には未だ多くの課題が山積しています。それを一つづつ解きほぐす動きも大切ですが、私たち公共R不動産は、「こうなったらもっと公共空間を楽しく使えるんじゃない?」という、ある意味無責任な妄想をして、そのアイデアを試してみることで、できる状況を作り出していく。そうして生まれたのが「公共空間逆プロポーザル」であり、「トライアル・サウンディング」です。

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これからも、さまざまな公共空間活用のかたちが生まれ、同時に課題も出てくると思います。その状況に目を向けながら、行政と民間が強いタッグを組んで公共空間活用に進んでいけるための新たな仕組みを妄想し、実践していきたいと考えています。

それはある意味、本来の民主主義を取り戻す動きといっても過言ではありません。行政主導・前例主義・横並び主義で慣習化されていた公共空間の舞台に、個人も、企業も、どんな人も関わることのできる土壌を作り出す。そして行政と民間が同じゴールに向かって実験を重ねて、その場所ならではの活用のあり方を見つけていく。そんな未来に向けて、これからも日々学習、日々リサーチ、日々妄想、日々実践、日々発信を続けていきたいと思います。

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プロジェクトメンバー募集にあたって、説明会を開催します。詳細は以下よりご覧ください!

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[2/4]公共R不動産のプロジェクトメンバー募集。説明会を開催します!

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