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Otsu Lakeside Renovation Project

[10/19] 滋賀県・大津市なぎさ公園サウンディング第2弾!

大津・琵琶湖岸のなぎさ公園サウンディングシリーズ第2弾。
今年度は琵琶湖岸のサンシャインビーチと市民プラザについてのサウンディングを行います。サウンディング開始のキックオフイベントとして、10/19に公共R不動産 馬場正尊とワークヴィジョンズ西村浩さんのトークイベントを開催します!ジュネーブ構想はまち最大の公共空間である「道路」の使い方を変えようという大胆な構想。交通政策のプロの西村さんと、改めて、大津の魅力の引き出し方を考えます。

今年度もやってきました、大津・琵琶湖岸のなぎさ公園サウンディングシリーズ第2弾!
なぎさ公園は全長4.8kmの琵琶湖南西岸に細長〜く伸びる公園。6セクションに分かれ、それぞれにゆるやかな活用方針が定められています。

昨年度は、中でも公園の玄関部分にあたる「おまつり広場」についてのマーケットサウンディングを実施。さらに、JR大津駅と琵琶湖をつなぐ「ジュネーブ構想」に基づき、駅から湖に歩を進めるきっかけとなるよう、駅前公園でもサウンディングと事業者募集を行い、併せて、この11月より、公園前の車道2車線を歩道化する工事が開始される予定です。
(昨年度の詳しい取り組みについてはこちらの記事をご参照ください。)

ジュネーブ構想とは?

「ジュネーブ構想」とは、大津市の駅と琵琶湖の関係が、ジュネーブの駅とレマン湖の地理的な関係と類似しているところから名付けられたもの。ジュネーブでは、湖に続く広い通りにオープンテラスが並び、人々が歩いて楽しむ空間になっているそうで、大津市もそんな風に湖と街中を愉しんで回遊できるまちになろうという構想です。その第一歩として、昨年度から民間による積極的な公共空間活用が始まりました。

大津市のジュネーブ構想イメージ

実は明治時代からの夢だった?

道路をオープンにしていく「ジュネーブ構想」、とっても大胆に思えますよね。しかし、調べてみると、「琵琶湖の美しい景観をまちぐるみで活用して街を活性化させる」というこのコンセプト、遡れば明治45年(1912年)からあったようです。その名も、「森林公園と琵琶湖風景利用策」(かなりストレート 笑)。しかも、立案者は本多静六氏!日本の「公園の父」とも呼ばれ、近代に公園という概念が日本に導入された時代に、日比谷公園や明治神宮など、日本中で現在でも愛される公園の数々を手がけ、日本の公園の礎を築いた人物です。

当時、自然のまま景観を「保存」する派と、美しい景色を経済的な価値につなげるべく「利用」する派の、2つの大きな考え方の潮流の論争があったようで、清六氏は後者。現在、日比谷公園内に松本楼という素敵な飲食店が建っていますが、これも彼の構想が元であり、緑の景観の中で食事を楽しむ。その飲食店が繁盛し賃料が、公園の維持管理にきちんと還元されていく仕組みで、長らく日比谷公園は独立採算で経営されていたとのこと。先進的というか、今より進んでいるくらいですよね。

その本多静六が、琵琶湖については、日本最大の湖とその先に山々が連なる風景を生かさないのは滋賀の、いや日本にとっての損害である、くらいのことを言っており、かなり気合いが入っています。景観利用策には、遊覧船の就航や、三井寺から石山(まちの西から東)までを回遊できるような遊歩道の整備が提案されており、湖岸を横断するような現在のなぎさ公園のコンセプトはきっとここに端を発しているのだろうと思います。

昭和 10 年発行『大津市鳥瞰図』(出典:赤石、河角「近代期における大津の水辺空間の変遷と観光開発」2016)

2019年度は2エリアのサウンディング

前置きがかなり長くなりましたが、今回募集するのは、そんななぎさ公園の東側「市民プラザ」と「サンシャインビーチ」の2エリア。「市民プラザ」は大津のひとつのランドマークでもあるプリンスホテルの目の前立地。サンシャインビーチはその名の通り白砂のビーチに松の並木道で、4.8kmの長いなぎさ公園の中で、もっとも水辺が楽しめるエリア。

今回の対象地の市民プラザとサンシャインビーチ(黄色部分)

清六さんも考えたように、この素晴らしい景観がきちんと活かされ、市民にとっても観光客にとっても心地よい場所となり、経済的な価値になんらか還元され、持続可能な公園経営に寄与するような場所にしていくべく、民間事業者さんを募集し、パートナーシップを組んでいきたいと考えてサウンディングを開始します!よきパートナーが見つかりそうであれば、来年度以降に公募開始、民間事業者選定にすすめればと考えています。

サンシャインビーチ
市民プラザ

交通のプロが読み解く大津!

しかし、景観活用計画の中で、静六氏も指摘している通り、いかんせん、琵琶湖は広大で、大津が最も長い湖畔をもつ自治体。なぎさ公園だけで4.8kmですし、三井寺や石山まで楽しんだら、歩き切ることはかなり難しい。今回サウンディングの2エリアも、公共交通でのアクセスには難有りです。

また、大津の街は、東海道で言えば京都に入る前最後の宿場町だったということもあり、横軸には古くからの東海道や中山道の軸線、北側からは北国街道なども入り交じり、現在はさらにジュネーブ構想で駅前の縦の軸線を加えている…ということから、交通計画が意外と複雑。

ジュネーブ構想実現第一弾として駅前公園の活用事業者が決定。2020年の中央大通り歩行空間化開始に向け、中央分離帯の工事が進んでいる。

こんなまちで、人の回遊性を高めるとはどういうことか?交通と都市のデザインをつなぐプロ、西村浩さんに起こしいただき、交通・道・ネットワークや人の流れにスポットを当てて大津というまちを眺めてみようと思います。

西村さんはご出身の佐賀市で人通りのほとんどなかった商店街に、その沿道の空き地を利用して人が歩く「目的地」づくりから、人の回遊を生んだり、大分駅前公園の整備でガラリとまちの雰囲気を転換し、大きな人のうねりとまちへの投資のトリガーを仕掛けたり、交通の分野も踏まえた鳥瞰的なアプローチでまちを変えていく名人です。

西村さんをお迎えするゲストには、ジュネーブ構想を掲げる越市長、様々な都市で公共空間のリノベーションを手がける公共R不動産ディレクターの馬場正尊が登壇します。

大津市民の方、大津に興味のある方、また大津で何か始めたいと考えている方、水辺大好きな方、どんな方でも結構です。なぎさ公園の未来、大津の未来予想図を、ぜひ一緒に描く時間にしたいなと思います。ふるってご応募ください!

workvisions西村さんの手がけたわいわいコンテナ

開催概要

<トークイベント>
開催日:2019年10月19日(土)
時間:10:30〜12:30
場所:大津市民会館小ホール
申込:こちらのフォームよりお申込みください。フォーム入力が難しい方はお電話にてお知らせください。
電話:077-528-2501(担当:加藤・松岡)

<現地案内&事業者説明会>
開催日:2019年10月18日(金)
時間:15:00〜17:00
場所:ヴュルツブルクハウス(滋賀県大津市由美浜5)
申込:こちらのフォームよりお申込みください。
※説明会後に簡単な懇親会を企画しております。馬場も同席する予定なので、事業アイディアなどぜひディスカッションにいらしてくださいね!

講師プロフィール

西村浩

株式会社ワークヴィジョンズ 代表取締役/株式会社リノベリング 取締役/マチノシゴトバCOTOCO215 代表
1967年佐賀県生まれ。東京大学工学部土木工学科卒業、東京大学大学院工学系研究科修士課程修了後、1999年にワークヴィジョンズ一級建築士事務所を設立。土木出身ながら建築の世界で独立し、現在は、都市再生戦略の立案からはじまり、建築・リノベーション・土木分野の企画・設計に加えて、まちづくりのディレクションからコワーキングスペースの運営までを意欲的に実践する。

馬場正尊

株式会社オープンエー 代表取締役/東北芸術工科大学教授/公共R不動産ディレクター
1968年佐賀県生まれ。1994年早稲田大学大学院建築学科修了。博報堂で博覧会やショールームの企画などに従事。その後、早稲田大学博士課程に復学。雑誌『A』の編集長を経て、2002年OpenA Ltd.を設立。建築設計、都市計画、執筆などを行う。同時期に「東京R不動産」を始める。2008年より東北芸術工科大学准教授、2016年より同大学教授。建築の近作として「Reビル事業」(2014-)「佐賀県柳町歴史地区再生」(2015)、「Shibamata FU-TEN」、「Under Construction」(2017)など。近著に『エリアリノベーション 変化の構造とローカライズ』(学芸出版,2016)、『CREATIVE LOCAL エリアリノベーション海外編』(学芸出版,2017)がある。

●越 直美 (大津市長)

越 直美
昭和63年(1988年)3月 大津市立南郷小学校卒業
平成3年(1991年)3月 大津市立南郷中学校卒業
平成6年(1994年)3月 滋賀県立膳所高校卒業
平成12年(2000年)3月 北海道大学法学部卒業
平成12年(2000年)11月 司法試験合格
平成13年(2001年)3月 北海道大学大学院法学研究科修士課程修了
平成14年(2002年)10月 最高裁判所司法研修所修了
平成14年(2002年)10月から弁護士として日米の法律事務所勤務
平成17年(2005年)4月 早稲田大学大学院非常勤講師
平成21年(2009年)6月 ハーバード大学ロースクール修了
平成21年(2009年)11月 ニューヨーク州司法試験合格
平成22年(2010年)9月 コロンビア大学ビジネススクール日本経済経営研究所・客員研究員
平成23年(2011年)1月 国連ニューヨーク本部法務部研修
平成24年(2012年)1月 第23代大津市長就任(1期目)(任期:平成24年1月25日~平成28年1月24日)
平成28年(2016年)1月 大津市長就任(2期目)(任期:平成28年1月25日~令和2年1月24日)

参考資料
「大正期の琵琶湖南部における「風景利用」」計画と名称仮指定による景勝地の保護と利用」山口敬太




PROFILE

菊地 マリエ

公共R不動産/アフタヌーン・ソサイエティ。1984年生まれ。国際基督教大学教養学部卒業。日本政策投資銀行勤務、在勤中に東洋大学経済学部公民連携専攻修士課程修了。日本で最も美しい村連合特派員として日本一周後、2014年より公共R不動産の立ち上げに参画。現在はフリーランスで多くの公民連携プロジェクトに携わる。共著書に『CREATIVE LOCAL エリアリノベーション海外編』。

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公共R不動産の本のご紹介

クリエイティブな公共発注のための『公募要項作成ガイドブック』

公共R不動産のウェブ連載『クリエイティブな公共発注を考えてみた by PPP妄想研究会』から、初のスピンオフ企画として制作された『公募要項作成ガイドブック』。その名の通り、遊休公共施設を活用するために、どんな発注をすればよいのか?公募要項の例文とともに、そのベースとなる考え方と、ポイント解説を盛り込みました。
自治体の皆さんには、このガイドブックを参照しながら公募要項を作成していただければ、日本中のどんなまちの遊休施設でも、おもしろい活用に向けての第一歩が踏み出せるはず!という期待のもと、妄想研究会メンバーもわくわくしながらこのガイドブックを世の中に送り出します。ぜひぜひ、ご活用ください!

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