公共R不動産のプロジェクトスタディ
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小さな公園革命
Park Caravan

Park Caravan1
デザインのクオリティにはかなり配慮されたそうです

先週末、保土ヶ谷の一角で、小さく、楽しい革命が起きていました。その名もパークキャラバン。公園でキャンプしちゃおう!という1泊2日のイベントです。

「憩いの場」の代名詞のような「公園」という空間ですが、最近は、ペット禁止、ボール遊び禁止、飲食禁止、砂場にフェンス…と、非常に不自由な空間になっている。そんな公園を、本来のもっと開かれた楽しい空間として奪還しようと試みたのが、この企画。

一言で公園といっても…

国交省の分類によれば、公園って12種類もあるんですって。

例えば横浜市には、いわゆる公園が約2,600個あり、その大半2,400個が、最も小規模な「街区公園」。横浜市では、その街区公園毎に「愛護会」なる地元組織を設け、管理を任せる仕組みなのだけれど、1割程度は愛護会不在なんだそうです。

前代未聞のバーチャル愛護会

今回のイベントを主催したNPOハマのトウダイさんは、この愛護会不在だった保土ヶ谷公園に、新たに愛護会を設立、日頃から清掃活動や商店街とのコラボ企画等を行っています。地元住民ではなく、NPOが主体の愛護会は、もちろん前代未聞。しかし、至極真っ当な、正攻法での公園活用ですよね。地道さに脱帽。

普通の公園が…

人工芝を並べ、その上にsnow peak提供のテント。地元野菜でカレーをつくったり、地元大学生とのコラボで仮設図書館をひらいたり。遊具も設置は許可が大変だけど、仮設ならOKなので、DIYでつくって持ち帰れる遊具づくりワークショップも開催。夜はプロジェクターで映画上映。最低限のものを揃えたら、あとは地元の資源をミックスするスタイル。拡がる可能性に身の毛がよだちました。

日常と非日常の境界

面白いのは、キャンプの横で、いつも新聞読んだりタバコ吸ってるおっちゃんが、フツーにベンチに座ってる風景。日常のまちの中に、キャンプという異分子が混じり込んじゃってるこの感じ。いいな〜。

ひとたびパイオニア事例ができれば、横展開もスムーズ。既に各所から相談もあり、10月にはみなとみらいで次回パークキャラバンを実施予定だとか。公園の再公共空間化革命、始動です!
(写真提供:NPO法人ハマのトウダイ)

PROFILE

菊地 マリエ

公共R不動産/アフタヌーン・ソサイエティ。1984年生まれ。国際基督教大学教養学部卒業。日本政策投資銀行勤務、在勤中に東洋大学経済学部公民連携専攻修士課程修了。日本で最も美しい村連合特派員として日本一周後、2014年より公共R不動産の立ち上げに参画。現在はフリーランスで多くの公民連携プロジェクトに携わる。共著書に『CREATIVE LOCAL エリアリノベーション海外編』。

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