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Otsu Lakeside Renovation Project

【イベント】湖の上で水辺活用を考える!
『Otsu Lakeside Renovation Project』
キックオフイベント開催レポート

8月4日土曜日、滋賀県大津市、浜大津港に停泊した観光船ビアンカ船上で『Otsu Lakeside Renovation Projet』キックオフイベントを開催しました。

このプロジェクトは大津市が公共空間を民間に開き、町ぐるみで琵琶湖をまちのみんなの居場所にしてしまおうという試み。

今回のトークイベントは、そのスタートとして、公共R不動産ディレクター馬場正尊と水辺の公共空間活用の先駆者、ハートビートプランの泉正明さんを迎え、越直美大津市長とともに、先進事例の紹介のみならずこれから大津市の水辺や駅前をどのように変化させていきたいかを、市民のみなさまと共に考える機会として企画しました。

当日は、最高気温37℃予想という酷暑かつ朝早い時間のスタートにもかかわらず、大津市民やプロジェクトに興味がある事業者の方など、約100名の方にお集まりいただきました。
会場となった琵琶湖汽船「ビアンカ」は浜大津港に停泊している大型観光船。水辺のことを話すにはこれ以上ない琵琶湖の水上というロケーション!全面採光の明るい窓の外には琵琶湖の水面や噴水も見られ、そこにいるだけで気分が上がるような素敵空間でした。

会場となった「ビアンカ」。
天候にも恵まれ、琵琶湖の美しさを再認識する最高のロケーション

越市長による大津市が考える2つの構想紹介

冒頭、越大津市長よりご挨拶のあと、今回の「Otsu Lakeside Renovation Project」の取り組みと、その骨子となるジュネーブ構想・宿場町構想についてお話しいただきました。

越直美大津市長自ら市の考える構想をプレゼン

その構想の中心は「大津にしかないまちづくり」。
まちに大津にしかない本物(ほんもん)の価値をつけていきたいという意気込みです。

左 越直美大津市長自ら市の考える構想をプレゼン 右 大津にしかないものは?大津の本物を活かしたまちづくりを、みなさんと一緒に進めていきたいという越市長からのメッセージ

大津駅から琵琶湖に向かうゆるやかな下り道と沿いにある小さな公園。さらにその先にある水辺のなぎさ公園(おまつり広場)。この2箇所が今回のプロジェクトでアイデアを膨らませ、新たな利用価値をつくろうという候補地。湖に行くまでに楽しく歩ける仕掛けがあり、その先にここにしかない価値があるものをつくっていきたい。また、それを行政だけでやるのではなく、民間事業者とともに共創し、ワクワクするようなまちにしていきたいと話されました。

馬場による公共R不動産の成り立ちと先進事例紹介

続いて馬場より、公共R不動産の成り立ちと、公共空間を利用した先進事例の紹介がありました。

東京都豊島区にある南池袋公園とそれにつながるグリーン大通り、公園と道路という組み合わせが今回の条件と似ています。この事例では、禁止事項ばかりの公園にはワクワクするような楽しみがない!そこを「社会実験」「暫定利用」という枠組みを利用して変化させた様子を説明。

公共空間の持つ可能性について、みなさん本当に真剣に耳を傾けていました
公共空間の持つ可能性について、みなさん本当に真剣に耳を傾けていました

毎月マルシェを開催し、夜野外シネマイベントを行うなど、官民あわせてさまざまな仕掛けを行った結果、暗い雰囲気で人が寄り付かなかった公園がわずか数年で緑の芝生にピクニックシートがあふれる人気の公園になりました。ポイントはつくるだけでなく、使いこなすための仕組みも重要というところ。

公園人気で「今年の都内の住みたい町ランキング1位になったり、近隣の住居価値が上がっている」、という馬場の発言に、会場がざわめく一幕も。

泉 正明さんによる水辺とスキマ空間活用事例紹介

力強く、ワクワクするプレゼンをしていただいたハートビートプランの泉英明さん
力強く、ワクワクするプレゼンをしていただいたハートビートプランの泉英明さん

続いてハートビートプラン泉 英明さんの事例紹介では、より水辺に焦点を当てた水都大阪の取り組みと、公共空間や公開空地など都市にあるスキマ空間を価値ある空間に変える社会実験、豊田市の「あそべるとよたプロジェクト」ペデストリアンデッキの活用事例を通じて、それを活かすための官民連携の仕組みづくりについてお話をいただきました。

この2例とも、人の量ではなく「アクティビティの多様性」こそが人が集まり、そこに滞留できる価値ある空間になれるということがキーポイント。さらに行政によるビジョンなきブツ切り単年発注をなくし、運営する人たちが最初のビジョン策定から関わるような組織の枠組みと仕組みをつくることが重要ではないかと話されました。

後半はクロストークと質疑応答で会場はさらに白熱

後半は3人のクロストークと質疑応答。越市長も個人の立場で話してほしいと、立ったまま話をするカジュアルな雰囲気で進んでいきました。それぞれが琵琶湖の水辺をどう使いこなすか?「夜に水辺で呑みたい」「足を琵琶湖の水に浸けたら涼しそう」「飛び込み台があるとおもしろいかも」など口々に妄想企画を発案。このプロジェクトではやはり琵琶湖の湖畔という最高のポテンシャルをどう活かしていくかがキーになりそうです。

次々とアイデアが生まれ、会場はその発想に夢中となりました
次々とアイデアが生まれ、会場はその発想に夢中となりました

会場参加者との質疑応答タイムでは、挙手も多くアイデア豊富にプレゼンテーションする方もおられ、会場内は盛り上がりました。最後に今後のプロジェクト進行についてサウンディング実施(※)のお知らせで、約2時間のイベントが終了となりました。

左 時間いっぱいまでご発言いただき、どれだけ今回の対象エリアが大切で可能性のある場か再認識 右 本当に世代層の広い方々にご参加いただきました

参加者のほとんどが大津市民のみなさま。京都大阪など近隣都市から来られた事業者の方や市民団体としてまちづくりに関わる方などもおられ、琵琶湖の水辺活用を行政や大きな民間事業会社に任せるのではなく、自分事として積極的に関わりたい、そんな気概を持った方がとても多かった印象でした。

子供連れからご年配の方まで幅広い年齢層の方にお集まりいただいたのもうれしいことでした。ご参加いただいたみなさま、また、眺望最高の船上という素晴らしい会場をご提供いただいた琵琶湖汽船のみなさま、ありがとうございました!

今回の登壇者、左から馬場正尊、越大津市長、ハートビートプランの泉英明さん
今回の登壇者、左から馬場正尊、越大津市長、ハートビートプランの泉英明さん

※サウンディングとは:公募する前段階で、広く意見を聞き、用途や条件を調整するためのプロセス。本事業のサウンディング詳細はこちら

PROFILE

西村 祐子

『ゲストハウスプレス』編集長・ワンダラーズライフデザイン代表。 「日本の旅をリノベーションする」を合言葉に、物見遊山的な観光ではなく、暮らしに寄り添う体感型の旅の楽しさをメディア発信。自身の小売業店長、Webディレクター、セラピストなど豊富な職業経験から「新たな視点を得、生き方を見つめ直す」ツールとして旅を再定義、インタビュー取材を中心に、旅や暮らし、まち、移住関連のトピックを多く執筆中。編著『ゲストハウスプレスー日本の旅のあたらしいかたちをつくる人たち』。

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