公共R不動産のプロジェクトスタディ
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ONOMICHI U2-県営上屋2号
ONOMICHI U2

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ババーン!元倉庫だけあって、サンフランシスコのフェリープラザマーケットを思わせるスケール。

世界7大サイクリングコース、しまなみ海道

こ、これが元公共物件だなんて…ショックなくらい、かっこよすぎて憎い。ONOMICHI U2は、元海運倉庫をサイクリストの聖地・しまなみ海道の一拠点として、複合施設にコンバージョンしたもの。

徹底的にサイクリストをコンセプトの中心におき、ホテル、ベーカリー、カフェ、レストラン、ショップ、そしてバイクのメンテナンスもお願いできる自転車メーカーのショップが入っています。

日本初!?バイクと泊れるホテル

ホテルは自転車に乗ったままチェックインでき、個室の壁には車体をかける場所も完備。お気に入りのバイクと一緒に泊れるホテルは恐らく日本初。

カフェにもショップの前にも、バイクスタンドがさりげなく置かれていて、自転車好きの全てを肯定しているかのよう。一泊約1.5万円と、決して安くはありませんが、案の定予約はいっぱい。万人受けするお洒落感の中の、このニッチな尖り方がポイントですよね〜。

元県営上屋2号

2012年に広島県からの公募で事業者が決定。施設整備には県からの補助がいくらか入った他、民都機構の融資も活用し民間でリノベーションを実施。2014年にオープンし、その後は当社が市に賃料を支払いながら運営しているとのこと。

建物側面には、瀬戸内オーシャンビューのウッドデッキが遊歩道のように続いていて、前にはイベント利用できる少し広いスペースもある。権利関係はちょっと複雑で、このウッドデッキ部分は尾道市の管轄なんだとか。市と県と民間が一体となって、場のポテンシャルを非常に上手く活かしている好例ですね。

かっこいいだけじゃない!

運営にあたるディスカバーリンクせとうちは、Uターンして地元に帰って来たメンバーが中心になって立ち上げた会社とのこと。この事業の他にも瀬戸内の伝統産業のリブランディング等を手がけており、ショップではそれらU2ブランド商品も手に入る。

公共施設が、こんな風に、もう一度、土地にご縁のある仲間達によって生まれ変わるなんて。日本にもっとこんな遊び場、増やしたい!!

PROFILE

菊地 マリエ

公共R不動産/アフタヌーン・ソサイエティ。1984年生まれ。国際基督教大学教養学部卒業。日本政策投資銀行勤務、在勤中に東洋大学経済学部公民連携専攻修士課程修了。日本で最も美しい村連合特派員として日本一周後、2014年より公共R不動産の立ち上げに参画。現在はフリーランスで多くの公民連携プロジェクトに携わる。共著書に『CREATIVE LOCAL エリアリノベーション海外編』。

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