公共R不動産がピックアップする物件
公共R不動産がピックアップする物件

愛知芸術文化センター活性化アイデア募集

名古屋の都心に立地し、美術館と劇場・ホールを有する全国有数の文化施設で、施設活性化事業のアイデアを募集します。

愛知芸術文化センターの栄施設(以下「芸文センター」)は、1992 年に開館した、地上 12 階地下5階建て(地下 3~5 階は駐車場)の複合文化施設。愛知県芸術劇場、愛知県美術館、愛知県文化情報センターの 3 施設からなり、年間 150 万人が来場しています。また、国際芸術祭「あいち」(2019年までのあいちトリエンナーレ)の開催会場としても有名です。県直営の美術館、指定管理で運営される芸術劇場は多くの人に利用されているものの、それ以外にも有効活用可能なスペースがあります。巨大な吹き抜け空間、公園とつながるレストラン空き店舗、アートライブラリー。今回のアイディア募集(「愛知芸術文化センター施設活性化事業アイディア募集」)では、館内の一部のスペースの活用案から、全体の活性化ビジョンまで、幅広く募集します。「このスペースを使ってこんなことをしてみたい」というアイデアはもちろん、「施設全体の総合プロデュースをしたい」というご提案もお待ちしています。

今回のアイデア募集は、公共R不動産を運営する株式会社OpenAが、愛知県から受託して行っています。OpenAは、このアイデア募集を芸文センターのあり方を問い直す機会の一環と捉え、「芸術文化の意味を広げる、狭義のアートにとどまらず、テクノロジーやデザインを掛け合わせ、産業的イノベーションを生み出す新しい場」をコンセプトに、施設再編に向けてアプローチを進めています。

本稿では、活性化の可能性がありそうなスペースを公共R不動産の視点でご紹介。愛知の文化の中心になりうる施設を刷新するチャンスです。

左 地下鉄栄駅から直結している。 中 ちょっと地味な印象の入り口 右 現在は企画展や劇場プログラムの告知用スペースとして使われている通路。壁も天井も使えそう。

立地について

立地は名古屋の商業の中心である栄。複数の再開発プロジェクトが進む注目のエリアです。市民の憩いの場である久屋大通公園に面し、地下鉄東山線・名城線・名鉄瀬戸線(最寄:栄駅)と地下鉄桜通線(最寄:久屋大通駅)が利用可能。 駅直結施設「オアシス21」と B2F 地下通路と2F レベルのペデストリアンデッキで連続しており、雨に濡れずに駅からアクセスできます。

地下2階の吹き抜け空間

栄駅からオアシス21を抜けて館内に入ると、どどんと広がる吹き抜けの大空間。過去にはパフォーミングアーツのイベントが行われたり、芸術祭の時に目玉となる作品が展示されたりといった使われ方をしてきました。後ろに大型スクリーンもあるため、映像を組み合わせての使い方も可能です。

左 奥にはミュージアムショップが入っている。 右 あいちトリエンナーレ2013ではヤノベケンジのサンチャイルドNo.2が展示された
左 普段は静かな吹き抜け。 右 2010年まことクラヴによるダンス公演〈長者町繊維街の日常〉撮影 丸山武久

文化情報センター

現在は「アートプラザ」という名称で、情報検索端末やチラシを閲覧するスペースとして使われている場所。芸術文化センターの玄関口にふさわしい、顔としての機能があってもいいかもしれません。

左 現在はチラシなどが置かれ、情報スペースとして使われている。 右 写真左手、駅直結の入り口から入ってすぐの好立地。

レストランスペース 

2階には以前レストランだったスペース(113.67㎡)があります。客席スペースは74.4㎡と少し小さめですが、吹き抜けのまわりに椅子を出すなどすれば席数を増やすことが出来そうです。正面の入り口からは、なだらかな坂でオアシス21につながっている気持のよい空間。ここにカフェがあるだけでも、ペデストリアンデッキやオアシス21の公園の使われ方が変わるのでは?過去には月額128,500円で出店されており、周辺相場よりお得感があります。

左 写真奥のシャッターが閉まっている部分がレストランスペース 右 吹き抜けの周りにもスペースが。ここからオアシス21の公園へ抜けることができます。
左 調理場(39.27㎡)の什器も一部残っています。 右 座席スペースは小さめ。通路を確保したうえで吹き抜け周辺まで滲み出す提案も大歓迎です。

ペデストリアンデッキ

過去にはジャズの演奏会なども行われたペデストリアンデッキは、オアシス21の芝生ゾーンとなだらかな坂でつながり、そのまま車道までつながっています。イベント開催など、様々な活用可能性がありそうです。

2階吹きぬけ

全館を貫くダイナミックな吹き抜けも芸文センターの魅力の一つ。過去にはこの吹き抜けの2階から8階までの回廊やスロープに161人の一般市民がずらりと並んでダンスパフォーマンスをしたことも(2000年 未完成交響曲名古屋組曲)。日常的な活用方法が模索されます。

左 2階から10階まで、大ホールの前に広がる巨大な吹き抜け。 右 県美術館の入り口まで続いている。

ライブラリー

現状アートライブラリーとして稼働しているエリアも提案を受け付けます。

左 1階のアートライブラリー。アート×ライブラリーという単語がすでにわくわくしますが、コワーキングスペースなどとも相性がよさそう。 右 レコードを聞けるスペースなどもある。プレゼンテーションを変えるだけでも魅力がアップするはず。

11階の回廊スペース 

11階にある、階段でだけアクセスできる回廊は、絶好のビュースポット。10階に入居し、ガイドブックでも取り上げられる人気レストラン、ウルフギャングパックと同じ夜景が楽しめます。バーや展示など、ユニークな活用が出来そうです。

左 眺めのいい回廊。 右 オアシス21と旧・名古屋テレビ塔を望む。

屋上庭園

90年代にはめずらしかった屋上庭園も、芸文センターの魅力の一つ。コミュニティーガーデンにして市民も使えるようにしたり、ダンスの練習場にしてみたり?アイディアが膨らみます。

左 緑がまぶしい屋上庭園 中 各所にベンチなどもある 右 屋根のあるスペースも

公募要項

以下愛知県のHPをご確認ください。
https://www.pref.aichi.jp//soshiki/bunka/2022idea-boshu.html

スケジュール
募集要領の公表 2022年9月22日(木)
現地見学会の参加申込み  2022年9月22日(木)~10月3日(月)
現地見学会の実施  2022年10月12日(水)
質問受付  2022年9月22日(木)~10月21日(金)
アイデアシートの提出  2022年9月22日(木)~10月21日(金)
個別ヒアリングの実施  2022年11月上旬~中旬
結果概要の公表  2023年2月(予定)

連絡先

事務局:愛知県県民文化局文化部文化芸術課 振興第二グループ
住所 〒460-8501 愛知県名古屋市中区三の丸三丁目1番2号
電話 052-954-7476
FAX 052-972-6075
e-mail geibun-kentou@pref.aichi.lg.jp

PROFILE

松田 東子

株式会社スピーク/公共R不動産。1986年生まれ。一橋大学社会学部卒業後、大成建設にてPFI関連業務に従事。2014年より公共R不動産の立ち上げに参画。スピークでは「トライアルステイ」による移住促進プロジェクトに携わる。2017年から2020年までロンドン在住。2021年University College London MSc Urban Studies 修了。

連載

すべての連載へ

公共R不動産の本のご紹介

クリエイティブな公共発注のための『公募要項作成ガイドブック』

公共R不動産のウェブ連載『クリエイティブな公共発注を考えてみた by PPP妄想研究会』から、初のスピンオフ企画として制作された『公募要項作成ガイドブック』。その名の通り、遊休公共施設を活用するために、どんな発注をすればよいのか?公募要項の例文とともに、そのベースとなる考え方と、ポイント解説を盛り込みました。
自治体の皆さんには、このガイドブックを参照しながら公募要項を作成していただければ、日本中のどんなまちの遊休施設でも、おもしろい活用に向けての第一歩が踏み出せるはず!という期待のもと、妄想研究会メンバーもわくわくしながらこのガイドブックを世の中に送り出します。ぜひぜひ、ご活用ください!

もっと詳しく 

すべての本へ