移住者200人の竹田市で今秋サウンディングツアーを企画!

大分駅からJR豊後竹田駅まで約1時間。決して交通アクセスがよいとはいえない、人口約2万人の小さなまちでありながら、ここ5年間で移住者が約270名。一時期は日本で最も地域おこし協力隊が多いまちとして知られ、現在も約20名の協力隊が住み続けているという、求心力の高いまちです。

そんな注目のまち、竹田市で、2020年秋、サウンディング・ツアーを企画しているとの朗報が! 素敵なお店やギャラリーなど点在する竹田。さらに複数の遊休不動産が活用されたら…ますますパワーアップするのではと期待大です!

注目は旧辻邸と旧南山荘
今回のサウンディングツアーのメインは旧辻邸と旧南山荘の2件。これらについては、具体的にツアーを含めたサウンディングで民間からの意見を収集し、来年度以降中に公募に繋げる予定です。その他、将来の活用を模索中の不動産については、ツアーで意見をもらい、反応のよかったものについては来年度以降、順次、活用検討にはいる予定とのこと。

旧辻邸
竹田市中心部はぐるりと山に囲まれた盆地なため、無数のトンネルが散在し「れんこん町」という異名があるほど。旧辻邸もまた、市役所前の、そんな手彫りの小さなトンネルを越えたところにあります。トンネルのむこうは、まるでトトロの世界に迷い込んでしまったかのようなのんびりした集落。にもかかわらず、駅も徒歩圏内の好立地です。

竹田市出身で大手総合商社代表を務めた方ゆかりの邸宅で、竹田市に平成30年度に寄贈されたものだそう。木造2階建で、築90年(増築部70年)にしては柱やハリもしっかりしています。華やかさよりは、質実剛健といった感じ。土間にはまだカマドが残り、お風呂もなんと薪焚き!空き家だった期間も長いようで、ボロボロではないにせよ、水回り、配管関係はやり直す必要がありそう。もしかしたら、一部傾いている?気もするので、きっちり改修しようとするとちょっとお金がかかるかも。市としては譲与も売却も視野にいれているとのこと。もともと持ち主さんからは「なにかまちの役に立つことに使ってほしい」との依頼でるため、開かれた空間や、まちに広がる活動の拠点といった使われ方が理想的。

旧南山荘
山荘といっても山小屋ではなく、元老人ホーム。ロードサイド店立ち並ぶ国道からも近く、竹田市内では人気のエリアにもかかわらず、目の前に田んぼがバーンと抜けていて、祖母山が望める気持ちのよい立地。34居室が3棟に分かれて平屋で並び、廊下でつながっている、おもしろい建物タイプです。

一室6畳程度のお部屋は収納のみで、トイレ、風呂、食堂は共同。しかし、どのお部屋も窓が大きく明るいです。中でも、魅力的なのは一番南側の棟。とにかく目の前の抜けがすごい。もう1つの魅力は、食堂横の大きな厨房。厨房器具は撤去されてしまっていますが、ものさえ搬入すればすぐにでも使えそう。建物全体はかなり老朽化していますが、なにか、わくわくする物件です。

化けそうな「野活」、愛された旧図書館なども
サウンディングツアーでは、上記2物件に加えて、以下の物件もめぐる可能性あり!ということで見学させてもらいました。

●竹田市野外活動施設
竹田市のシンボルでもある岡城(かの有名な、滝廉太郎「荒城の月」の荒城です!)を望む高台にある物件。広場と宿泊棟、管理棟からなる施設です。まちからとても近いアウトドア施設的なポテンシャルはありそう。

●久住支所の遊休スペース
市町村合併に伴い、発生した余剰スペース。施設は非常に新しく、最上階はくじゅう連山の山並みの絶景がウリ。

●旧荻支所
合併に伴い別の複合施設に支所がお引越ししたため、使われなくなった旧荻支所。結構古いこともあり、増築部分以外は耐震性なし。耐震補強まで使いたい人いるかなぁ…という難しいところですが、レトロな窓口の木枠や、階段のタイルなどかわいさはあり。

●旧図書館
市民に愛されていた、レトロで小ぶりな図書館。こちらも、建物自体はとっても味がありかわいいのですが、如何せん老朽化で雨漏りもあり…厳しい条件ですが、とても愛着の湧く建物。

自然も近く、すでにあたたまっているコミュニティもある竹田。

福岡、大分、熊本で「実はこんな暮らしがしたい」を抱えているみなさま、ぜひサウンディングツアーにご参加くださいね!ツアーでは、見学と同時に地域の魅力を体感してもらえるよう、滞在プログラムも予定しているそうです。

詳細日程は春になってから。乞うご期待です!
※ステータスは「募集中」となっていますが、今年の秋に「募集予定」となります。
→2020年9月に募集スタートしました!(編集部 追記)

PROFILE

菊地 マリエ

公共R不動産/アフタヌーン・ソサイエティ。1984年生まれ。国際基督教大学教養学部卒業。日本政策投資銀行勤務、在勤中に東洋大学経済学部公民連携専攻修士課程修了。日本で最も美しい村連合特派員として日本一周後、2014年より公共R不動産の立ち上げに参画。現在はフリーランスで多くの公民連携プロジェクトに携わる。共著書に『CREATIVE LOCAL エリアリノベーション海外編』。

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自治体の皆さんには、このガイドブックを参照しながら公募要項を作成していただければ、日本中のどんなまちの遊休施設でも、おもしろい活用に向けての第一歩が踏み出せるはず!という期待のもと、妄想研究会メンバーもわくわくしながらこのガイドブックを世の中に送り出します。ぜひぜひ、ご活用ください!

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