広島市棚田の中の旧小学校活用
旧小河内小学校

校舎外観

広島市中心部から約一時間、風光明媚な農村の小学校

今回ご紹介するのは、広島市北部、山と緑に囲まれた自然豊かな農村、小河内にある小学校。校舎はもちろん、グラウンドから体育館まで一体利用できる民間事業者を募集しています。

1982年築の校舎(鉄筋コンクリート造3階建・新耐震)は閉校から3年、その後も市により維持管理が行われており、状態は良好。体育館も旧耐震ながら耐震診断済みなのは嬉しいポイント。

高台に建つ小学校からは、見渡す限りの棚田。石州瓦で葺かれたオレンジ色の屋根の古民家が立ち並び、のどかな景観を楽しめます。

事業内容から貸付料(無償提案も可)まで、自由に提案してください。

地元住民の熟慮のもとに

少子化や過疎化の影響で、2015年3月末に140年の歴史に幕を下ろした小河内小学校。閉校をマイナスに捉えるのではなく、地域に新たな活力を生み出すような活用が必要という視点に立ち、地域で議論を重ね、自治会連合が行政に提案書を提出。その提案書を基に、今回の公募がなされました。

田舎暮らし体験塾などを運営する「特定非営利活動法人小河内Oプロジェクト」を地元住民が立ち上げたり、空き家バンクが設立されるなど、地元プレイヤーも活発。また、広島市の事業「ひろしま活力農業経営者育成事業」により、数名の若手農家が新規就農している地域でもあります。

地域の活性化を目指しての一体利用

今回の公募の目的の一つは、活用事業による地域の活性化。そのため選定される事業者には、単に経済活動を行うだけでなく、地域への貢献活動が期待されます。ついては、長期的に地域と良好な関係を築いていくための工夫や事業に伴い期待される地域活性化の効果など、地域貢献について提案をお願いします。

また、より一層の活力創生のため、部分貸しではなく物件全体を貸付範囲とし、複数の事業者ではなく、同一の事業者に対する一括貸付となります。市の承認を受けて事業者が第三者に行う転貸、レンタルオフィス等第三者に使用させることが前提の提案、複数事業者のグループとしての応募は可能です。

「源快集楽」小河内の新たな地域拠点に

高齢化率59.3%、人口のピークは明治時代(ピーク時2500人、平成29年4月現在432人)と、明るいニュースばかりではない小河内地区。しかしながら、自らを「源快集楽」と呼び、自治会から市に提案もしてしまう、そんなポジティブなパワーに溢れた小河内に、可能性を感じずにはいられません。現地見学会は9月4日(火)を予定。ビビッときたら、ぜひご応募を!

PROFILE

松田 東子

株式会社スピーク/公共R不動産。1986年生まれ。一橋大学社会学部卒業後、大成建設にてPFI関連業務に従事。2014年より公共R不動産の立ち上げに参画。スピークでは「トライアルステイ」による移住促進プロジェクトに携わる。2017年から2020年までロンドン在住。2021年University College London MSc Urban Studies 修了。

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