あなたの街も下北沢ケージで
京王線高架下

今回紹介するのは、演劇のシアターやライブハウスなどが集積するカルチャーの街、下北沢。人通りの多い高架下の空間が、2016年夏より3年間限定でパブリックに開いたユニークなオープンスペースになりました。

アウトドアで気持ちいい

街に開かれた金網のケージ

演劇のシアターやライブハウスなどが集積するカルチャーの街、下北沢。人通りの多い高架下の空間が、2016年夏より3年間限定でパブリックに開いたユニークなオープンスペースになりました。電車の高架下につくられたのは、高さ6.5mの金網で囲われた空間。道ゆく人たちからも見える、それでいて中に入れば落ち着ける不思議な空間。

公共空間の定義に挑戦

ここは厳密に言うといわゆる公共空間ではなく、京王電鉄が所有・運営する暫定利用施設です。日中は街のポケットパークとして開放され誰もが自由に入ることができ、一休みしたり子どもやペットと遊ぶことができます。夕方からは併設の飲食店舗(アジア屋台料理の店、ロンヴァクアン)の屋外客席やテイクアウトバーになって賑わっています。実はこのプロジェクトは、公共R不動産のグループ会社であるスピークが運営に携わり、民間が所有するパブリックスペースの新たな可能性に挑戦しているのです。

あなたのまちのPRイベントにも

そしてここのもう一つの顔はイベントスペース。たとえば月に何度かは、下北沢に縁のある古着屋、レコード屋、雑貨屋、古本屋さんなどが集まってナイトマーケットや昼間のデイマーケットが開かれています。また、企業のPRイベント、映画上映会、音楽イベント、ダンスパフォーマンスなども行われます。下北沢ケージは、街のお店や工房、あるいは地下の劇場やライブハウスなどに展開する「街のコンテンツ」を通りがかった人たちにも発見してもらう、という考え方なのです。料金体系も、企業などの貸切利用に向けたレンタル料金と、地元の人たちによる文化活動での利用では異なっており、街のコミュニティやカルチャーを重視したスタンスで運営されています。マーケットイベントでは手作り作家さんの個人店だけでなく 、地方自治体やまちづくり関係の団体・企業が地元のプロダクトを販売したり期間限定PRイベントを開催するなどの利用もぜひ進めていきたいとのこと。

民間によるコモンとも言うべきこの空間は、そんな風に個人も企業も行政も混じり合った”公共空間”でありたい・・そんな考えに共感して使ってくれる方、募集しています。

 

 

PROFILE

塩津 友理

Open A/公共R不動産。1987 年生まれ。昭和女子大学大学院修了。2012年Open Aに入社し、書籍やウェブの編集等に携わる。共著書に『RePUBLIC 公共空間のリノベーション』『PUBLIC DESIGN 新しい公共空間のつくりかた』『団地に住もう! 東京R不動産』など。

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