湊町から始まる。町家で始める。
旧大木道具店

大通りの角地に立つ、魅力的なこの外観

北前船で栄えた湊町の町家

かつて日本海側屈指の港町「三国湊」として栄えた福井県坂井市三国町。石畳の細い路地や、「かぐら建て」と呼ばれる伝統的な町家が残る街並みに、今もその歴史を感じとることができます。今回は、その街の中心に建つ「旧大木道具店」の活用者の募集です。

物件は、メイン通りの角地に建っているため目を引くことはもちろん、周辺には明治期の文明開化の遺産でもある旧森田銀行本店(国登録有形文化財)などもあり、風情ある街並みを作っているエリアにあります。

存在感たっぷりの建物

たくさんのガラス窓が特徴的なこの建物は、なんと大正生まれ!和風建築でも中には洋室があったり、モダンな装飾があったりと、近代化してきた当時の雰囲気がよく伝わってきます。

もともと商店だったこともあり、1階はショーウィンドウを構えた店部分と、奥には中庭に面して落ち着いた座敷も。

この建物の顔とも言える、大きな窓のある2階は大広間で、天井も高く、通りに向けて明るく開放的なつくりです。

いろんな空間が広がっていて、使い方の想像もどんどん膨らみます。

改修費用の補助も。

今回の募集は、個人でも法人でも応募可能なので、やる気とアイデアで誰でも参加できます!

賃料は土地賃借料として月3万円。

建物が古くて大きいので、どうしても耐震改修などの工事がネックになりがちですが(想定4500万円程度)、市からは改修準備資金として200万円と、改修費用(改修費総額の1/2、2000万円限度)の補助もあります。

また奥にはむき出しの構造が美しい蔵もあります。蔵については、活用の対象にはされていませんが、一体利用できると、なお良し。そのアイデアは審査時の加点対象でもあります!

選考における審査項目は、次のとおり。その他詳細は応募要項をご確認ください。

  • 活用事業に対する理解度
  • 持続可能な事業展開
  • 「旧大木道具店」の保存に対する理解度
  • 三国湊賑わい創出への貢献
  • 特別加算(飲食事業の活用提案・主屋及び蔵を含めた敷地全体を活用した提案)

街が内側から変わる時

今回の公募は、三国町の空き家を保存改修再生させるプロジェクトである、三國湊町家PROJECTの一環として行われるもの。このプロジェクトでは既に、蔵を使ったフレンチデリHALF MOON BAY、町家を使った盆栽ショップ・工房のみくに園、薬局をアレックス・カー氏がプロデュースするゲストハウスにした詰所三國など、魅力的な場所が続々と生まれています。

三国町は金沢駅から特急で36分。街の中心で通りの角地のポテンシャルや、魅力ある建物をどう活かしていくか、想像が膨らむばかり。

ふつふつとやる気の湧いてきた皆さん、応募してみてはいかがでしょうか。

PROFILE

松田 東子

株式会社スピーク/公共R不動産。1986年生まれ。一橋大学社会学部卒業後、大成建設にてPFI関連業務に従事。2014年より公共R不動産の立ち上げに参画。スピークでは「トライアルステイ」による移住促進プロジェクトに携わる。2017年から2020年までロンドン在住。2021年University College London MSc Urban Studies 修了。

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