リトル沖縄 Part1 シアター×庁舎
石川庁舎

庁舎外観
庁舎外観。86年築にしては綺麗な印象です。

きました!沖縄うるま市のビッグ物件!

沖縄って聞いただけでわくわくしてしまうわけですが、さて、うるま市って、どんなところなんでしょうか。「うるま」は沖縄の方言で「珊瑚の島」という意味で、「琉球」に匹敵する沖縄全体を表す雅名でもあるそうな。方言がそのまま市の名前になった珍しいケースです。

平成17年に2市2町が合併して誕生したうるま市は、石川、具志川、与那城、勝連の4エリアで構成されています。この度、庁舎を1つに集約することから、旧市町単位の庁舎に余剰が生じるため、その後の使い方を募集中とのこと。

それぞれ個性的な特徴をもつエリアが集まっているうるま市は、祭、伝統芸能、リゾート、食べ物などなど沖縄の多様な魅力が凝縮した「リトル沖縄」とも形容されるのだとか。なんと今回活用の提案を募集している石川エリアでは、闘牛も観れちゃうそうです!日本で闘牛が見られるのは徳之島だけだとばかり思っていましたが、これはかなりディープな予感〜。

おもしろいシアター庁舎

すみません。闘牛に興奮して、紹介が遅れましたが、この度アイディアを募集している物件は闘牛場ではなく、石川庁舎です。この庁舎の特徴はシアターと合築型であること。そのためか、(内部は思いっきり一般的な庁舎ですが)共用のエントランス部分の天井がとっても高かったり、ガラスが多用されていたり。ちょっぴりシアター感が垣間見られます。駐車場のキャパが大きいのも使いやすそうなポイントです。

最近の日本のトレンドとして、公共施設の機能を集約し複合化していく流れがありますが、劇場×庁舎は聞いたことないパターンですね。長野市で建設中、秩父市と彦根市で建設の検討がなされているみたいですが、ほとんど前例がなさそうです。

当然のことながら、エンターテイメント系でとことん固めるもよし、本屋さんなど文化系のコンテンツを集めるもよし。シアターに来たついでに立ち寄れるレストランやカフェ、伝統芸能を観るだけではなく体験する教室などなど想像は広がります。

提案可能なアイディアの幅

施設の活用を検討するにあたり、うるま市では市民ヒアリングも行っており、ニーズが高そうなのが、観光に資するものと地元に必要な福祉系の施設という意見。周囲には体育館、野球場等の運動公園があるので、それらも絡めて考えると健康関係もマッチしそうです。さらに、さすが子育てがしやすいと定評のある沖縄、人口も増えており、子育てニーズもありそう。

旧石川市の市街地に位置するこの庁舎は、商業施設が立ち並ぶ利便性の高い国道沿いに位置し、高速の石川ICからも至近と立地も非常によいので、逆になかなか可能性が絞り切れません。

今回提案された内容は、必ずしも直接事業化に結びつくものではありません。しかし、たかがアイディア募集、されどアイディア募集。提案の実現性の高さによっては、そのまま事業化の検討に入っていくチャンスも十分用意されているようで、幅広く「ここでこんな事業をやりたい!」という前向きな事業者さんからの提案を受付けています。

まずはうるま市にめんそーれ(いらっしゃい)!

Part2の与那城庁舎とのセットでの提案も受付けております。

PROFILE

菊地 マリエ

公共R不動産/アフタヌーン・ソサイエティ。1984年生まれ。国際基督教大学教養学部卒業。日本政策投資銀行勤務、在勤中に東洋大学経済学部公民連携専攻修士課程修了。日本で最も美しい村連合特派員として日本一周後、2014年より公共R不動産の立ち上げに参画。現在はフリーランスで多くの公民連携プロジェクトに携わる。共著書に『CREATIVE LOCAL エリアリノベーション海外編』。

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