公共R不動産のプロジェクトスタディ
公共R不動産のプロジェクトスタディ

民間が運営する公園の実力|てんしば

敷地内に天王寺動物園・大阪市立美術館・慶沢園・茶臼山を有する天王寺公園。そのエントランスエリア(25,000m²)の運営管理を大阪市が民間事業者に委託し、2015年10月「てんしば」としてリニューアルオープンしました。約7,000m²の広大な芝生広場を中心に、カフェ等の各種テナントやフットサルコートがあるオープンスペースに変貌を遂げました。

ココ、天王寺公園デスカ?

1990年以降、野宿者や青空カラオケ店などの増加、動物園の来場者の減少などの事情を背景に、天王寺公園の周囲は約2.5mの柵で囲われ、有料化されていました。転機が訪れたのは2014年1月。関西国際空港に直結する天王寺ターミナルに隣接するポテンシャルを活かすため、大阪市が「エントランスエリアの魅力創造・管理運営事業者」を募集。2段階の公募型プロポーザルの末、事業者に、近隣の商業施設「あべのハルカス」を運営する近鉄不動産が選定されました。

貸付期間は20年間。整備費・維持管理費はすべて近鉄不動産の負担で、同社は約14億円を投資して整備、年間約3,000万円の公園使用料を大阪市に支払い、テナントへの賃料から投資を回収していくスキームです。テナントは、子どもたちの遊び場やペットグッズの店、カフェなど、公園の利用者と親和性の高い施設ばかり。

2018年3月末には通算来場者数が1,000万人を突破。オープンから約2年半、年間400万人以上のペースで推移しています。この広場への集客数は、確実にエリア一帯によい影響を与えています。

天王寺公園のエントランスエリアは、“てんしば”にリニューアル。誰でも無料で入れるようになった。
“てんしば”の中心に広がる約7,000㎡の芝生広場。
芝生広場の先には、天王寺動物園の入り口がある。右奥に見える大阪私立美術館にもつながっている。
平日の昼の様子。ママ友がピクニックを楽しんでいた。
あべのハルカス16F展望台から見た“てんしば”。右下の丸い建物と、その上の青い屋根の間が入り口。芝生の左端が天王寺動物園。中央の森の中の大きな建物が、大阪市立美術館。
天王寺公園の全体図。(大阪市花と緑の情報サイトより)

– – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – 

上記の記事については、公共R不動産が編集・執筆した書籍、
公共R不動産のプロジェクトスタディ 公民連携のしくみとデザイン」でもご紹介しています。
他事例や妄想コラム・インタビューも掲載していますので、ぜひご覧ください。

 

PROFILE

公共R不動産

全国の魅力的でユニークな公共空間再生の事例や、公共空間を楽しく活用する人々のインタビューなどをお届けします。

連載

すべての連載へ

公共R不動産の本のご紹介

クリエイティブな公共発注のための『公募要項作成ガイドブック』

公共R不動産のウェブ連載『クリエイティブな公共発注を考えてみた by PPP妄想研究会』から、初のスピンオフ企画として制作された『公募要項作成ガイドブック』。その名の通り、遊休公共施設を活用するために、どんな発注をすればよいのか?公募要項の例文とともに、そのベースとなる考え方と、ポイント解説を盛り込みました。
自治体の皆さんには、このガイドブックを参照しながら公募要項を作成していただければ、日本中のどんなまちの遊休施設でも、おもしろい活用に向けての第一歩が踏み出せるはず!という期待のもと、妄想研究会メンバーもわくわくしながらこのガイドブックを世の中に送り出します。ぜひぜひ、ご活用ください!

もっと詳しく 

すべての本へ