公共R不動産がピックアップする物件
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森林浴のメッカで働き学ぶ場づくり。長野県松川町青年の家運営者募集

南信州の松川町の森の中に建つ広大な社会教育施設の運営事業者を募集中です。

「旧長野県松川青年の家」は、研修棟・宿泊棟・体育館の3つの建物と、グラウンド、野外施設(炊事場などの屋外空間、ツリードームの敷地除く)からなる35,006㎡の元社会教育施設です。2017年3月末に閉所した後は、長野県から所有を移管された松川町で施設の活用方針等について検討してきました。残すのか、解体か、住民からも様々な意見が出る中、せっかく建物があるのだから、と人々が集い交流できる施設として利活用していく方針が決定しました。以下の3つの機能を入れ込んだうえで、自由な発想で施設全体を活用してくれる事業者を募集します。

① 仕事と学びと集いの場(コワーキングスペース・レンタルオフィス)
② 自然体験・滞在交流の場(キャンプ場的施設・自然体験プログラム等)
③ 防災避難施設

施設外観。右手が宿泊棟、左手が体育館。

松川町ってどんなところ?

松川町は、長野県南部、伊那谷に位置する町。南信州の豊かな自然に囲まれ、リンゴをはじめとした果樹栽培が有名です。近年では、リンゴのお酒、シードルづくりも盛り上がっており、多くの醸造所や農家さんにより、個性あふれる銘柄が生まれています。本施設は、そんな松川町の中でも、中央高速道路のインターチェンジからほど近い立地。付近には、町営の温泉宿泊施設やスポーツ施設・屋内プール、フォレストアドベンチャーなどの施設があります。また、本施設の敷地内では、すでに「ツリードーム南信州まつかわ」として、グランピング施設が運営され、土日はほぼ埋まる人気ぶり(当該敷地部分は今回の提案の対象外となります)。

左 近隣の温泉宿泊施設「清流苑」 中 スポーツ施設「リフレッシュまつかわ」 右 フォレストアドベンチャーまつかわ

また、隣接する森は森林セラピーの拠点となっていて、専門トレーナーのガイドのもと、五感をフルに使って森を歩くことで、癒しの時間を過ごすことができます。

森林セラピー認定基地まつかわの里 およりての森 | 山と川 | 自然 | トリップアイデア | Go NAGANO 長野県公式観光サイト
近年海外でも人気の森林浴。徒歩圏の「およりての森」は認定森林セラピースポット。(写真は長野県公式観光サイトより)

施設概要

気になる建物はコワーキングスペースとなるであろう研修棟、自由な発想が求められる宿泊棟、防災避難施設として指定されている体育館の三棟。屋根の全面改修、研修棟の雨漏り修繕、給湯・空調・Wi-Fi 等通信ネットワーク設備整備などは町負担で改修予定です(詳細は募集要領参照)。

開放的なロビー

運営のメインとなるのは研修棟。35人用の小研修室が3室、45人用の中研修室1室、100人収容の大研修室兼視聴覚室と食堂などで構成されています。

左 配置図 中 1F平面図 右 2F平面図
左 小研修室 中 工具のある部屋も 右 大研修室

働き学び集う場所、というとコワーキングスペースなどが浮かびますが、どんな場であれ飲食の場所は必要、となれば、食堂がすでにあるのは強み。 シードルの飲み比べができるパントリーや、町内の名店から日替わりで仕出ししてもらうなど、設備がなくても、松川町ならではの美味しいものを食べながら仕事できるスペースはどうだろう…などと妄想が膨らみます。なお、町に対し改修費用の負担を求める内容がある場合は、改修の内容とかかる費用の概算について併せて提案が必要です。(つまり提案の余地はあります!)

左 食堂の様子 右 収容人数は100人!

宿泊棟は2017年の閉館以来利用されておらず、設備の状態などは不明です。こちらの施設もすぐに活かせればベストですが、まずは仕事と学びと集いの場としての機能を確立してから、事業拡大を検討するのもよいかもしれません。宿泊は、当面は敷地内のグランピング施設や近隣の宿泊施設「清流苑」と連携していくのもよさそうです。

左 宿泊棟・和室 中 宿泊棟・洋室 右 浴場

体育館は、バスケットボールコート1面とバレーボールコートが2面。災害時には避難所として利用されることとなりますが、平時は活用の可能性が広がります。約10,000㎡のグラウンドも併設されています。また、ツリードームのある屋外空間も、炊事場などがあり、キャンプ場などとして使えます。

左 体育館外観 右 内部の様子

契約方法と委託料

契約方法は単年度ごとの業務委託契約で、委託料は年間 5,500,000 円を上限として協議の上決定されます。単年度というと設備投資などがしにくい印象ですが、町としては地域とつながりを持ちながら継続的かつ主体的に管理運営を行う事業者を希望しているとのこと。単年度契約がしたいわけではなく、あくまで単年度の金額上限を示したもの、ということです。

お話を伺った松川町産業観光課の西浦さんも、「一緒に地域づくりを考えてくれる人に来てほしい。ただ委託を受けて運営するのではなく、松川町の今後を一緒に考えていける人に来てもらえたら」と期待を語ってくださいました。近隣施設と連携しながら、地域資源や訪れる人同士をつないでいける人が求められています。

施設規模が大きいため、手を挙げるのに躊躇される方もいるかもしれませんが、事業者(企業)に限らず、まずは施設のそばに暮らしながら管理人兼コンシェルジュとして小さく場を運営していくのもありかもしれないと思いました。提案に応じて協議したいという町の柔軟な姿勢にも可能性を感じます。ピンときた方はぜひ提案を!

スケジュール

募集要領等配布期間: 令和4年6月 24 日(金)~7月 29 日(金)
現地見学会の開催 :令和4年7月 11 日(月)(本記事を見て応募を検討する事業者は、特別に7月22日までの間で現地見学可能です。希望者は松川町産業観光課まで連絡の上、日程調整をお願いします。)
参加申込の申請期間 :令和4年7月1日(金)~7月 22 日(金)
質疑受付期間 :令和4年6月 27 日(月)~7月 25 日(月)
質疑への回答 :令和4年7月 29 日(金)
応募(提案書類)受付期間: 令和4年7月 27 日(水)~8月5日(金)
プレゼンテーション審査 :令和4年8月 17 日(水)
候補者の決定、通知 :令和4年8月末
基本協定の締結 :令和4年9月
業務委託契約の締結(事業開始): 令和5年度以降

※上記のスケジュールは変更となる可能性もありますのでご了承ください。


詳細・お申込方法はこちらからご覧ください。

松川町ホームページ:旧長野県松川青年の家施設管理運営事業者の募集について(公募型プロポーザル)

松川町 産業観光課 観光振興係
〒399-3303 長野県下伊那郡松川町元大島3823
電 話:0265-36-7027 FAX:0265-36-5091
E-mail:sangyou@town.matsukawa.lg.jp

PROFILE

松田 東子

株式会社スピーク/公共R不動産。1986年生まれ。一橋大学社会学部卒業後、大成建設にてPFI関連業務に従事。2014年より公共R不動産の立ち上げに参画。スピークでは「トライアルステイ」による移住促進プロジェクトに携わる。2017年から2020年までロンドン在住。2021年University College London MSc Urban Studies 修了。

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